ニューフェイス(新規開店)情報

◇仙台にできた”店”2軒◇
◇原発事故避難から帰還した岡田書店◇
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copyright:(K) 日本古書通信社
震災で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。
私の故郷は福島です。
東日本大震災から10年が経ちましたが、自然の脅威に加え、取り返しのつかない人災である原発事故の影響で、故郷にはどんよりとした雲がかかったままです。人の営みがいかに小さなものかとあらためて思います。
どうか一日も早く、安心して暮らせる生活が戻りますよう。
そして書物をゆったり味わえる日が少しでも早く訪れますように。
2011年、震災から3週間後に福島を訪れてから、毎年、被災地の古書店を訪ねてお話を伺い、業界の状況をお伝えしています。
2011年5月号では福島県の古書ふみくら・岡田書店さんのお話を中心に、「東日本大震災と古書店」レポートをまとめました。
6月号では、いわきのじゃんがら堂さんと仙台の火星の庭さんの報告を掲載。
2012年は5月,6月号の2カ月にわたり、震災後1年レポートを掲載!
5月号では、いわき市の現状を中心に取材、6月号では再びふみくら・岡田書店さんのお話と仙台の古書市場の様子をお伝えしました。
2013年は2年経ち、復興に向かう業界の動きをお伝えしています。
原発事故の影響でもっとも復旧・復興が難しいと思われる福島県の古書業界の現状と、被災地を含む広範囲な連携として業界からも注目を集める「つちうら古書倶楽部」の取り組みを中心にレポートしました。
取材の移動途中でも、美しい景色のなかに、行き場の定まらない黒い袋が目につきました。
岡田書店さんの3回目のお話を伺うと、国や自治体や東電の取り組みが遅々として進まず、”普通の暮らし”を取り戻せない現実がよくわかります。それでも、生活者としては厳しい覚悟を強いられる一方、古書店としての仕事は仲間に助けられながら前向きに努力されています。
また、昨秋、須賀川の古書ふみくらさんが、そして今春、相馬の書林堂さんがそれぞれ店舗を再建されました。
そこには”地域とつながる”ことを大切に思う強い気持ちがあります。
土浦市に開店した大きな常設古書モール「つちうら古書倶楽部」は、地方都市が寂れ、地方の古書店が厳しさを増す中、仲間と共に地域の活性化を目指す取り組みです。(5月号に開店初日の座談会を収録)仲間とつながり、地域とつながる、古書店のこんな動きの中にこそ、地域に根差した復興の道がみえてくるのではないでしょうか。
2014年は、3月号に赤坂憲雄氏に「震災・文化・復興」と題する遠野文化研究センターの取り組みを語っていただき、5月号では福島の博物館の取り組みと古書店の現状や市場リポートなどもお伝えしています。
阪神淡路大震災から20年が経ち、東日本大震災から4年が過ぎた2015年は、古書業界はどのように復旧、復興してきたのか、それぞれの地域の古書店主の方々にお話をうかがいました。本をとりまく環境も激変、街の古本屋さんが減る中で、どう頑張っているのか、兵庫古書組合の理事長あかつき書房主や福島の古書てんとうふ主、仙台の昭文堂書店主や火星の庭主はじめ皆さんのお話をおききください。
東日本大震災から5年が過ぎた2016年は、津波被害から再建していまだ仮設店舗で頑張っている気仙沼の唯書館さんと、原発事故からの帰還をはたした楢葉町の岡田書店さんを中心にルポ。加えて東北被災地読者の方々の現状報告を寄せて頂きました!5月号を編集中に、熊本地震が発生、心も揺れましたが、震災からの復旧・復興には共通する問題があるはず。
また、東日本大震災特有の問題から眼を背けてはならないとも思います。
熊本地震から1年、東日本大震災から6年が過ぎた2017年。着実に復興への歩みをすすめている熊本にくらべ、地縁を根底から断ち切られた東北被災地は、なかなか震災前の「日常」を取り戻せずにいるようです。
本の世界の「日常」は、震災前、震災直後、そして今と、どのように変化してきているのか、せんだいメディアテーク内ミュージアムショップ・カネイリの菅原氏と古書店bookcafe火星の庭の前野氏にお話を伺いました。
また、5年半ぶりに復活したイービーンズ古書即売会や、新しい古書店の誕生など、東北被災地ならではの「本屋のある街」つくりへの動きをリポート。
2018年は東北全体の古書店状況をじっくりご紹介。
まず5月号は「岩手県の古本屋」特集、6月号は「宮城県の古本屋」その①、7月号は「宮城県の古本屋」その②と「山形県の古本屋」、8月号は「青森県の古本屋」と「秋田県の古本屋」、そして10月号は「福島県の古本屋」特集です!
さらに、2019年3月号には「東北の古本屋リスト」をまとめました。
そして今年2021年5月・6月号は「東日本大震災から10年」特集。復興の現状と東北の古書業界の新たな動きをリポートします。
微力ながら、せめて記録して伝えることを大事にしてゆきたいと思います。
(K)
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
スマホもいいけど、本もいいものですよ♪
ぜひ、いろいろな本屋さん、古書展を歩いて、心の糧をGETしてください。
各地で開かれる即売会も、お店とは違った楽しみがあります。
全国各地の古本屋さんを調べるには、「古本屋名簿―古通手帖2011」をヒントにしてください。
付録の全国古書即売展ガイドも使えますよ!
みなさまに本との素敵な出会いがありますように!
神保町をはじめて歩く方におすすめなのは、すずらんどおりにある「本と街の案内所」。
もちろん探求書の検索もしてくれますが、とにかくどこをどう歩けばどんな本屋があるの?とか、お昼はどこでたべたらいいかしら?という全くのビギナーにとっても優しい場所なのです。
案内所はどなたでも無料で利用できます!
BOOKTOWN じんぼう http://jimbou.info/ でも、”本の街”を覗いてみてくださいね。

◆仙台の新しい”店”2軒・・・詳しくは2017年5月号をご覧下さい♪
◇古書水の森◇
仙台市青葉区五橋2-5-6
営業は毎週土曜日13時~19時
美術系を中心に70年代マンガや音楽など
◇ブックカフェ・メアリーコリン◇
仙台市宮城野区小田原1-9-28
営業は11時~19時、火曜・水曜定休
カフェのある絵本屋(古書と新刊)
◆岡田書店◆―原発事故からの帰還
★福島第一原発の事故で全町避難を余儀なくされていた、楢葉町の岡田書店の三代目・悠氏が、昨秋、町へ帰還、店舗を開きました。
避難指示は九月に解除されましたが、生活のための施設は揃わず、一応〈除染〉が済んだとはいえ放射線への不安も残るなか、町にもどった住民はわずか6%、しかもその多くは高齢者。
そんな中、なぜ楢葉に店を?
震災からちょうど5年後の3月11日、小雪舞う楢葉町の岡田書店さんを訪ねました。
いわきまでは常磐線の特急に乗れば東京から二時間。
しかし、お店の最寄駅である常磐線木戸駅までは、本数が少なく乗り換え連絡も悪いので、いわき駅から車で6号線を北上します。
(実は岡田書店二代目ご夫婦が駅まで迎えにきてくださいました)
行きかう車は復旧作業か除染作業か、ほとんどダンプばかり。
こうした作業員の方々の数は厖大で、6号線沿いのラブホテルまでが作業員の宿舎と化している状況だとか・・・。
いわき駅から40~50分、双葉警察臨時庁舎(もと道の駅ならは)を過ぎて少し行くと左側に「古本」ののぼりがはためいています。
屋根瓦にはまだ震災時のビニールシートが被っている家の、10条畳ほどのスペースの部屋に、郷土史誌はじめ、絶版漫画からコンビニコミック、音楽雑誌などがきれいに陳列されています。
まだお若い三代目・悠氏にお話をうかがいました。
「まずは、住めるなら楢葉に住もう、そして住むなら店も開こうと思ったのです。
〈除染〉が終わり、この家の周りの放射線量は、いわきのアパートと変わらないくらいになりました。
震災三ヶ月前に建てたばかりだった兄の家を譲り受け、隣の父の家を店にすることにして、解除がみえた昨年の夏ごろから準備して、手作りの棚と本を並べて、9月28日に開店しました。
最初は殆どお客さんがきませんでしたが、地元紙と地元TVに紹介されて徐々に店が知られてきたのかなと感じています。
最近は作業員の方も増えて、バン一台に数人が乗り込んできて、手軽な漫画や雑誌を買っていかれます。
いわきまでいかないと本屋はありませんし、コンビニより安く手軽な読物を買えるとわかったのかもしれません。
一方で毎月必ず来てくれるマニアの方も何人か出来ました。
自分が売りたくて力を入れているものが認知されると嬉しいですね!
好きなものの価値を共感して頂けたとき、古本屋でよかったと思いますよ。
震災で帰れなくなった故郷に関わる本を探しに来る方もいらして、やはり楢葉の本屋として、この辺りの郷土史誌関連をそろえていきたいと実感します。
父がいわき市平中神谷にあった店を閉めて催事に特化したのですが、その頃のお客さんが懐かしがって訪ねてきてくれるのも有難いです」
―まだ帰還率は6%とか。みなさん帰ってくるでしょうか?
「うーん、半分ぐらい戻ればいいかなと。
みなさん、それぞれの事情で戻りたくても戻れない方もいらっしゃいますから。
楢葉町の中でも、温度差があって、いわきに近い木戸地区は比較的帰ってきた方が多いのですが、原発に近い竜田地区は本当に少ない。
うちの周りは帰ってきた方々が集まっているので、防犯上も比較的安心なのですが・・・。
僕ら夫婦は、線量をあまり気にしていませんが、でもやはり水だけは怖いので、風呂と洗濯は仕方なく水道水ですが、飲料水と料理用はミネラルウオーターを買っています(※注:町の水源である木戸ダムの底からセシウムが検出されている) 。
こんなに水を消費するものかと驚くほどですよ。」
「実はこの店は震災時のダメージがひどく、あと半年ほどで解体しなければなりません。裏の納屋がこの倍くらいの広さがあって作りもしっかりしているので、そこに店を移すつもりです。
本ももちろん増やしますが、ちょっとお茶くらい飲めるスペースを確保して、地元の方々が立ち寄ってほっとできる場所にできればと考えています」
もともとこの地では、悠氏の祖母が雑貨屋を営み、近所の人々との交流の場でもあったといいます。
悠氏も開店当初は意識されなかったようですが、この半年間で地域の方々とのつながりが深まるにつれ、古本屋として自分に何が出来るかと考えたとき、並べる品は違っても祖母のお店と同じような方向性が見えたのでしょう。
二代目・共一氏も、心配しつつ出来る限りバックアップしてゆくと仰います。
岡田書店の看板を受け継ぐ三代目のこのチャレンジを単なる美談にしてはなりません。
お店から車で少し行くと、除染廃棄物が詰まったフレコンバッグが山積みのまま。
国道6号線は一昨年〈開通〉しましたが、双葉~富岡間は線量が高く、今もバイクでは通れません。
一日二往復の途中下車できないバスに乗って通ってきましたが、車内の線量計の数字に、車外はいかにと怖さを感じました。
そんな風景が改善されない限り、読書を心から楽しめる日々は戻らないでしょう。
現場で作業にたずさわる方々には感謝の念でいっぱいですが、まだまだ〈復興〉は途上。
東北被災地に暮らす「古書通信」読者の方々からも、厳しい実感が寄せられました。
(「古書通信5月号本誌参照→ご注文はこちらまで)
チャレンジする若い力にエールをおくりつつ、私達も考え、伝え続けなくてはと思った2016・3・11でした。【文責:折付】
★岡田書店
- 〒979-0513 福島県双葉郡楢葉町大字山田岡字竹ノ花11-2
- TEL&FAX 0246-34-8060
- 営業時間 10:30~17:30
- 定休日 水曜日 ほか、催事中は臨時休業あり
- 開店 2015年9月28日
◆古書てんとうふ◆移転のお知らせ
★福島県郡山市の古書てんとうふさんが、2015年4月、文化通りのお店を閉め、移転されます。
移転の経緯を伺いました。
「同じ郡山市内の自宅は建てた時から、いずれ店を兼ねてと考え、倉庫も併設してスペースは確保してありました。
ところが震災と原発事故で売上はめちゃくちゃ落ち込み、自分自身も打ちのめされました。
リベンジするまで、この店(池ノ台店)をやめるわけにはいかなかったのです。
なんとか仕入で生き返ったので、今回移転を決めました。
物量的には少し減りますが、郷土史、教育・教科書関連を中心に、小説以外の全ジャンルを扱います。
バックストックがしっかりしていれば、どこでもできますからね。
震災以来ストップしていた自家目録も、久しぶりに発行しました。(32号)
珍しい香山滋の本が載っていると話題にもなりましたよ。
今後は年に2回発行が目標です。
ネットの利便性を生かしつつ、目録と店と催事と、まだまだ定年を決めずにがんばりますよ」
と、非常に前向きな移転宣言です。
移転先=新店舗
〒963-0111 郡山市安積町荒井字柴宮29-7
TEL024-947-1466
はじめは来春ころまで店を休んでネットと通販でとお考えだったそうだが、お客さんからの要望が大きく、7月1日(水曜)オープンとのこと。
その後は、木曜・金曜・土曜の週三日営業になります。
新店舗紹介はまたあらためて♪
◆つちうら古書倶楽部(土浦市)◆
★2013年5月号本誌でご紹介した、大型常設古書モール=つちうら古書倶楽部さんが開店1年を迎えました。
開店1周年記念の大古本まつりに合わせて、4月半ば、土浦を再訪しました。
被災地を含む広範な地域の古書店が連携した新たかたちであり、茨城古書業界の復興の象徴ともいうべき、つちうら古書倶楽部が開店したのは昨年3月31日。
みんなが集まって「古書」をあつかう本屋ができないかとずっと考えていたという、れんが堂主のよびかけに仲間が集結。
250坪30万冊の大型古書モールの誕生とあって、大手マスコミにも取り上げられ、初日の盛況ぶりはNHKの記者も驚くほど。
買い物かごも足りなくなり、レジも長蛇の列。
平台5台をひとつの島として、常設店舗22店の島に加え、催事用の店の島が並び、全部で平台220台は壮観。
その間に人が埋まっているような状況でした。(詳しくは昨年5月号をご覧ください)
さすがに開店当時の賑わいと比べれば落ち着いた感じですが、でも、第4回大古本まつりの最終日の日曜、今回の特集「乗り物あつまれ」目当てにやってきたと思われる熱心なファンが目立ちました。
特集関連の本やグッズはもちろんですが、いろいろな古本屋さんの多種多様な本が並んでいるので、ゆっくりたっぷり楽しめます。
通常は店舗のない、いわきの阿武隈書房さんや岡田書店さんの棚も常設ですから、ここに来ればみられます。
とにかく広いのでぐるっと一回りするにはけっこうな時間がかかるんですね。だからお客さんのお店にいる時間が長い。
そして開店当初から感じましたが、客層が広い。だいたい、古本屋さんや古書展は、おじさん~おじいさんが圧倒的に多いのですが、若者や家族連れもとても多いのです。
小中学生が一人で本を探している姿など見ると、さすが地域に密着しているなと、ちょっと嬉しい気がします。

春と夏と秋と、年に3回開いている大古本まつりは、特集テーマにあわせて目録も発行しています。
今回は「乗り物あつまれ」でしたが、前回は「戦争・平和・オリンピック」。
今回の目録はなんと巻頭カラー!さすがインパクトがあります!
「つちうら」とひらがなにしたのは、れんが堂夫人。突っ走るご主人にブレーキをかけつつ家族で協力。
3月にはおひなさまを、5月にはこいのぼりを、と売り場に季節感を取り入れ、なごやかな空間作りもされています。
仲間とつながり、地域とつながる店「つちうら古書倶楽部」。ぜひゆっくり楽しんでみてください。(K)
★つちうら古書倶楽部
- 土浦市大和町2-1 パティオビル1F
- TEL029-824-5401
- 常磐線 土浦駅西口より右手にりそな銀行、信号右折して50メートル
- 開店 2013年3月31日
◆書林堂(相馬市)◆

★福島県相馬市の書林堂さんが、新店舗を再建されると伺い、なんとしてもこれは行かねば!と、取材のお願いをいたしました。
4月19日、寒さがもどり、風も強い日でしたが、晴れてはいましたので、冬装備で出発。
東北道を福島西ICでおり、115号線を東へ。
桜や桃の花のピンク色が美しい、のどかな山間の道なのですが、あちこちに黒い袋が積まれているのに心が痛みます。
(伊達の桃は風評被害から回復したのでしょうか)
相馬市に入ってからもしばらく山道が続き、街なかの書林堂さんまでは、ICから1時間以上かかりました。
中村城跡を左に見て、市役所を過ぎ、県道121号線を左折して少し行った左手、バス停傍に、新装なった書林堂さんがあります。
(本来なら、JR常磐線の相馬駅も近いのですが、震災後まだ復旧していません)
開店準備中で、まだ本を並べている最中のお忙しい中、時間を割いていただきました。
「今、脱原発の街頭PRから帰ってきたところです。
人口3万5千の市で400人が亡くなりました。震災一週間後に浜の方にいって愕然としました。
あったはずの集落が消えてしまっている。自然との共生なんて幻想だと思いましたよ。
仮設住宅などで人口は増えていますが、松川浦をはじめ、海のまちとしての復旧・復興はまだまだです。
震災前から商店街には元気がありませんでしたが、それに拍車がかかった状況です。
よく建て直すねと周りに言われましたよ。
もともと父は本郷で思想哲学中心の学術書を扱っていたのです。
戦後この地に来て街の本屋となりましたが、人口十万人いないと商売は厳しいとよく言っていました。
子供の頃いろいろ手伝わされたのはあまり楽しい思い出ではなく、反発を感じていた時期もありました。
でも、やはり父の背中をみていたのでしょうね。
新刊書店や図書館にない本、この地域にしかない本を掘り起こしてつないでいかなくてはと思うようになりました。
ネット販売もしていますが、それだけでは地域とのつながりが希薄なんですね。
小さくても地域に密着した店をと思っています。
営業時間もこれまでより延ばして、店売りに力をいれていきたいですね。」
JRだと、仙台から亘理まで南下した後、バスで相馬までということになり、陸の孤島状態だが、文化のバロメーターとして古書店の存在があるとの信念での再建。こころからエールをおくりたいと思います。(K)
★書林堂
- 相馬市中村新町237
- TEL&FAX 0244-35-1136
- 文学、歴史、思想哲学、古書一般(1F 文庫・新書・一般文学書など 2F 学術書・全集など)
- 開店日 ? 2013年4月19日はまだ準備中 (いつ開店ですか?と聞くと、街の片隅にひっそり開くのがいいんですよとのことでした!)
◆古書ふみくら須賀川店◆
★先日、被災地・福島県須賀川市で再建を果たした、古書ふみくらさんに伺ってきました。
伺ったのは11月23日(金曜・祝日)。
朝から東京は冷たい雨。
その前の週には向こうは小雪もちらついたというし・・・今回はオートバイではなく、新幹線でゆったり行くことにしました。
東京駅から東北新幹線で約1時間半、みちのくの玄関、新白河駅で在来線に乗り換えて約30分で須賀川駅に到着。
駅前の通りをまっすぐ南へ、須賀川橋を渡り、銀行やホテルが建ち並ぶ商店街=松明通りをトコトコ18分歩きます。
国道118号線との交差点を左折(この交差点角にあった新刊書店は残念ながら閉店、接骨院に変わっていました)。
右手に、新装なった古書ふみくら須賀川店。
3・11のあと、「危険」札を貼られて、ボロボロだったお店が、こんなに素敵に生まれ変わりました!

お店の中は天井までがっしりとつながった強固なながーい本棚がそそりたっています。
自由民権関連や軍事資料、郷土史料など中心の黒っぽい本がぎっしりで、見ごたえ十分。
交通便利とは言えない場所だから、お客様は多くはないけれど、でも、遠くから熱心なお客様が訪ねてくるのだそうです。
東京あたりから、軍事資料を集めている方々が連れだって来たり、満洲関係の資料をもとめて、韓国から訪ねてきたお客もいるのだとか。

ふみくらさんは、郡山にもお店があり、そちらはお母さんが切り盛りしています。
娘の奈見さんは、須賀川店再興をめざすお父さんの思いをくんで、一緒にこの新しいお店で頑張っています。
お父さんが目録を、奈見さんが店売りとネット販売(自店HPと日本の古本屋)というように仕事を分担し、東京古書会館の和洋会や、東武、西武の即売展には二人で共に協力して参加してきました(今は即売展はちょっとお休み中)。
人口7万人の須賀川市で、地元の新刊書店がなくなり、スーパーに付随したような本屋だけになってしまったと聞きました。
商店街も、震災で壊れた建物がなくなって、あちこち更地のままで淋しい感じは否めませんが、そんな中で、ふみくら須賀川店は、しゃんと背を伸ばして立っています。
これからも地元の文化を支え、本と人とをつないでいってほしいと思います。(K)
★古書ふみくら須賀川店 〒962-0833 福島県須賀川市馬町1-3
- TEL 0248-72-7753
- FAX 0248-72-7763
- 営業時間 11時~7時
- 不定休 (ほぼ日曜日のみ休み、予約があれば開けているそうです)
- 新装開店 2012年9月19日
- 【街の本屋のささやかな復活宣言】
- 昨年の3月11日の震災を受けて、半壊した店舗。整理、解体も完了。再建に1年半かかったのは、これから先の見通しが不鮮明だったからだ。3年前に患った病もあり、気が落ち込むこともあった。後ばかり見ていた時期もあった。今も病とのたたかいは終わらないが、希望だけはなくすまいと気持ちを奮い立たせたのは、僕が生まれ育った山村の小さな町に本屋も図書館もなかったことにあるのかもしれない。学校図書館の数少ない、本当にくたびれた、汚れた本をむさぼり読んだ記憶は今も残る。たぶんその気持ちがあるからだと思う。
- 28年前に創業した郡山の駅前には、街の本屋はすでに一軒もない。10店舗もあった時代の賑わいもない。勿論、須賀川も同様。今年残っていた最後の本屋も店を閉じた。自主閉店、倒産、業種転換と各々事情があったにせよ、寂しいことだ。本の業界自体が厳しい現実にあるのも頭では理解している。が、それでもという思いは強い。まだまだ未来はある。そう信じて、再出発を決めた。幸い後継者もいる。何もしなければ、先へは進めない。その強い思いだけは持って歩み始めることにした。
- この間、多くの方にたくさんの気持ちをいただいたことに感謝するとともに、これからの新たなる出発の宣言としたい。≪古書ふみくら 佐藤周一・奈見≫
※なお、ふみくら須賀川店は、「古書通信」11月号本誌(通巻1000号記念号)の「21世紀古書店の肖像」でもご紹介しています。

★古書たなごころ 〒101-0051 千代田区神田神保町1-20-1F
- TEL&FAX 03-6273-7075
- mail:kosyo-tanagokoro@mbr.nifty.com
- 開店 2010年10月1日
- 営業時間 11時~20時 日曜・祝日 12時~18時
- 定休日 無休
- 取扱 SF、ミステリー、趣味全般、文庫
- 販売形態 店売り主体、ネット(日本の古本屋)、即売会など
- 開店まで
- 早稲田のまんが市文化堂時代から、ブックパワーRB、@ワンダーと店員として18年間修業して独立。
- ランチョンの裏手の通り、へぎそばの隣にあったRBさんの時代に、SF&ミステリーの部門を任され、のびのび仕事をさせてもらえたことが楽しく、また自分自身の糧になり大変有難かった。「売る」ことはやってきたが、「枠組み」から自分で作らねば・・・この店は「18年間の卒業制作」でもあるそうです。
- 修業時代のみならず、開店に際しても古書業界の先輩方にいろいろな面でお世話になった。仲間としての温かさ・優しさが身にしみ、心して頑張らなくてはと!!
- 店名の由来
- 手のひらに載るくらいの小さな店(5坪)という意味もあるが、本と人との情の通いは手から始まる(目は浮気者!)との思いから。実際に手にとって、本の手触りを楽しんでほしいから、店売りにこだわりたいとのこと。
- お店紹介
- 靖国通りを神保町交差点から駿河台下交差点方向へ、カレーの共栄堂の先の路地を左に入ってゆくと、左手にいにしえ文庫さん、その斜め前、右手に古書たなごころさんがあります。小さなお店ですが、これからSF・ミステリー中心に品揃えを強化してゆくところ。
- キャッチコピーに「小さな隠れ家で心をこめて棚づくりしています」とありますが、店先の小さなバスケットに可愛いエハガキが入っていたり、留守の時にはどのくらいで戻るかがちゃんと貼り紙してあったり(←これ、とても大事なポイントですよね!)、あちこちに店主の細やかな心遣いが感じられます。
- 今後の抱負
- 今の時代、ネットは大事だけれど、ネット中心になってしまうと、ウブイ物をお店にならべられなくなってしまう。店名にも掲げたように、本を実際に手にとれることの貴重さはやはり大事。
- 捨てられてしまう沢山の本の中から”古書”と呼べる本を集めてゆきたい。奥さまに支えられながら杖をついて店を訪ねてくる方もいらっしゃる、そんなお客様に応えられるような店になれれば・・・。
- この路地には、和食も中華もフレンチもおいしいお店が並んでいます。食も本も楽しめる通りとして、街全体での賑わいを目指したいとのことでした。
※路地裏のアットホームなお店。気さくな店主が、気軽におしゃべりにも応じてくれます。是非お散歩コースに組み込んでみてください(K)
★楽水書房 〒101-0051 千代田区神田神保町1-20-3
- TEL&FAX 03-5577-6937
- mail:taro526@ybb.ne.jp
- 開店 2010年7月
- 営業時間 11時~19時 日曜日11時~17時
- 定休日 月曜日
- 取扱 書道、武道関連書籍 江戸文化書籍
- 販売形態 店売り、ネット販売、即売展など
- 開店まで
- はじめは、お客としてまんが市文化堂に通っていましたが、その後、@ワンダーの店員に。7年間修業しての独立です。
- ネット販売ももちろん大事ですが、やっぱり店で実際に見て楽しんでほしい、一冊から派生する本にも出会ってほしいとの思いで、店売りに力を入れています。
- 書道の本を扱うと決められたのは、大学時代にある書道家に師事して得られたご経験が大きかったようで・・・。
- 思い入れのある「書道」を中心に、そこに同じく「道」を極めるところで通じ合う「武道」も、そして時代背景としての江戸文化関連書籍も。
- 屋号の由来
- 「知者楽水」より、と言われて実は私は恥ずかしながら知らなかったのですが、調べてみたら、「仁者楽山」と対で、「動」と「静」を表すことばなのですね。休むことなく動く水のように、未熟者でもとにかく動いてやれることを精一杯やる、という決意の表れだそうです。
- お店紹介
- 神保町交差点から駿河台交差点方向へ、スターバックス手前の路地(玉英堂さん向いあたり)を左に入って路地をすすむと左手にあります。
- もと山猫屋が入っていたギャラリー風のお店。「古本屋名簿」のPRに「書道の法帖、書籍をお求めやすいお値段で」とある通り、プロ向けの専門書というよりは、学生や入門者の方々向けの買いやすい雑誌や書籍が揃っています。
- お手本にするために切り貼りされたりする本も多いらしく、あちこち切られたものも見せていただきましたが、できるだけ汚れのない、きれいな状態のものを提供できるように心がけているとのこと。
- 今後の抱負
- 市場の経営員としての仕事がある月曜日は定休日ですが、それ以外は休まず営業、「いつでも開いている店」にするそうです。
- 書道の面白い本をたくさん集めて、瀟洒な店構えに負けないお店にすることが当面の目標と伺いました。
※ガラス張りで、外からでもきれいなお店の雰囲気はわかるかもしれませんが、是非、ドアを開けて店内ものぞいてみてください。思いがけない一冊との出会いがあるかもしれません。(K)
★古書日月堂 〒107-0062 港区南青山6-1-6 パレス青山205号
- TEL&FAX 03-3400-0327
- mail:info@nichigetu-do.com
- HP http://www.nichigetu-do.com
- 場所 根津美術館真ん前、南青山4丁目信号角のパレス青山ビル2F
- 移転オープン 2009年10月12日
- 営業時間 原則として火曜・木曜・土曜の12時~20時 (HPにて確認を)
- 取扱い 1920年代~1930年代の都市風俗を中心にビジュアルな書籍・雑誌。および戦後美術関係資料、エフェメラ。
- 販売形態 店売り中心、ネット販売、即売展(最近では暮れの銀座松屋に初参加)
- 移転開店まで 大岡山で6年、表参道に進出して7年半、今回、同じビルのふた部屋隣に増床移転!このご時勢にすばらしい快挙です。・・・きっかけは共同で借りていたお隣さんが撤退したこと。そこで店をどうするか、実はかなり悩んだといいます。リスクを考えたら、ネットと目録だけの手法もありなのですから。・・・でもそこで店主はリアルな店にこだわりました。お客様に実際に店に来てもらい現物をみてもらって、そこでリアルな”モノ”を買う面白さを感じてほしいから。店には外部のシステムに依存するだけではない偶然の出会いがあります。お客様との対話は、広く深い知識を教えていただくことは勿論ですが、それだけではありません。たわいない雑談の中にも愉しみや発見がひそんでいます。一見無駄のように見えるかもしれないやりとりは、人生の彩でもあるのでしょう。お客様との対話重視は、HPのつくりにも表れていて、トップページには値段を載せていません。お客様がアクションをおこして目録ページに辿り着いて初めてみられるように、と、少しでも一方的にならないように心がけているそうです。
- お店の風景 4坪から10坪へ、2.5倍に広がったオレンジ色の空間のインパクトは絶大! 店主自らペンキを塗った前の店のイメージはそのまま、今回はプロの建築デザイナーの手によって、さらに洗練された輝きを放っています。広さが倍以上になったからといって、ヘンに書棚を増やしたりはせず、新たに増えたのは四方に開くキャビネットくらい。引き出しには絵葉書やら木版唐紙やら、お茶関係の版木類やら、楽しそうなモノがいろいろ詰まっています。上には地球儀鉛筆など、コレクターの心をくすぐる珍品が・・・。そのキャビネットの上の空間などを利用して、オープンから1週間、企画展「事件を起こせ!1950s~1970s 戦後日本前衛美術の青春期」を開催されました。これからも随時、企画展を開催してゆくそうです。エフェメラといわれる紙資料の類は、一度逃したら二度と出会えないモノ。そういった資料の固有の情報は写真などで開示してしまうと売るための説得力がなくなってしまいます。そこにもリアルな店の必要性があるのです。空間が広がった分、居心地もアップ! お客さまからのプレゼントというハタキまでオブジェのようにみえてしまう素敵なお店に、とにかく足を運んでみてください。(K)
☆下記にご紹介した手塚書房さんが移転されました。
- 新住所 千代田区神田神保町1-27 阿部ビル1F
- TEL&FAX 03-3294-3338
- すずらん通り、ガストの横を曲がり路地を左に入ったところ。東京堂書店の裏手です。
★手塚書房 〒101-0051 千代田区神田神保町2-4 殖栗ビル2F→移転
- TEL&FAX 03-3261-1223
- mail:tezuka@khh.biglobe.ne.jp
- HP http://tezuka.jimbou.net/
- 場所 靖国通りみずほ銀行隣、地下鉄A2出口際、メガネドラッグの2F
- 開店 2009年4月10日
- 営業時間 12時~19時(月曜日~土曜日)
- 定休日 日曜日(不定)
- 取扱 歌舞伎、能、文楽など舞台芸術、琴、三味線や長唄、小唄などの邦楽、雅楽、また落語、講談、浪曲などの演芸、説話、民族芸能、日本舞踊など、日本の芸能に関連する書物
- 販売形態 店売り中心、ネット販売(じんぼう&日本の古本屋)
- 開店まで・・・学生時代のアルバイトから始めて、古賀書店~豊田書房さんでなんと約30年修業。昨年、閉店された豊田書房さんのジャンルを受け継ぐ形で、番頭さんが独立開店されました。先代のお仕事を、最初はそれこそひもかけから見よう見まねで覚え、仕入れに同行し、番頭さんとして仕事を任されていたベテランです。修業せずに自身の感性のみで店を始める方も多い中、これだけのベテランによる開業は逆に珍しいのでは? 長年の仕事場=神保町という場所は絶対条件でした。
- お店案内・・・お店は、神保町交差点から九段下に向かい、右手、みずほ銀行の手前のビル2Fにあります。通りの反対側=古賀書店さんや以前の豊田書房さんの前を進んで行った方が、窓に書かれた「手塚書房」の文字が見やすいかもしれません。 階段を上ると、本と木の香りのするすっきりした店内。落ち着いたダークカラーに塗られたおしゃれな木製本棚16本は特注品かと思いきや、なんと店主の手作り!! 3月から棚を作り、本を拭いて値付けをして・・・丁寧にじっくり準備された様子がうかがえます。 まだ本が少なくて・・・と仰いますが、どうしてどうして。右手壁面にずらりと並ぶ芝居~歌舞伎関係書は壮観です。お馴染みの玉三郎の写真集から、研究者でも揃えている方は少ないであろう「歌舞伎台帳集成」までぎっしり。「忠臣蔵」の隣にはちゃんと「赤穂市史」も並んでいます。 落語関係を少し置いているお店はあっても、講談本がこれほど揃う店はなかなかないでしょう。また、民俗芸能コーナーには、民俗、歴史、宗教関係書も充実、こちらの専門家にとっても楽しめる棚といえると思います。
- 今後の抱負・・・雅楽・邦楽関係など、まだ品揃えを厚くしてゆかねばならないので、毎日市場に通って棚の充実を図っているところだそうです。 豊田書房さん時代のお客様の一部はいらしてくださるが、まだまだ認知されていないので、ネットなどを入口に、実際にお店にいらしていただきたい。お客さんがこれもこれも欲しいけどどっちにしようかなと迷うくらいの品揃えを目指し、毎週、できれば毎日来てチェックしてもらえるような店を作ってゆきたい!とのこと。 楽しくてつい長居してしまいそう! ぜひ一度足を運んでみてください!(K)
★古書りぶる・りべろ 〒101-0051 千代田区神田神保町1-42 村上ビル1F
- TEL&FAX 03-5281-5420
- 地下鉄神保町駅A5出口から4分
- メール&HPは準備中
- 開店 2008年12月12日
- 営業時間 11時~19時 日曜・祝日定休
- 取扱 美術・文学・社会運動・社会思想
- 販売形態 店売りのほか、即売展に参加(ぐろりや会、本の散歩展、新宿西口地下古書まつり、有隣堂八王子店、長野平安堂駅前店)
- 店名の由来・・・スペイン語で”自由書房”の意。
- 移転まで・・・新刊書店勤務のあと、最初は横浜・希望が丘で古書店を開いて19年間、その後、吉祥寺へ移り8年半、そして今回、昨年12月から神保町で営業することになりました。これまではいわゆる”街の古本屋”さんでしたが、神保町にいらして、ここでは、仕入れも売りも違うなと感じているそうです。古書市場に近いのはメリットですし、神保町を目指して訪れる本好きに、まずは周知してもらうことなのでしょう。
- お店案内・・・地下鉄神保町駅のA5出口を出て左に、靖国通りを進み、ランチョン手前で左折、まっすぐ行くと左手にあります。もと海坂書房さんだったところで、店の棚などもほとんどそのまま利用、違うのは中央にガラスケースが備わったことくらいでしょうか。いえいえ、容れ物は同じでも、中身はすっかり変わりました。ご店主は、以前勤めていた薔薇十字社、四谷文鳥堂、そして神田ウニタなどが元気だった頃の60年代・70年代の出版社の雰囲気を再現したいとおっしゃいます。本棚の中身も歯ごたえのありそうな書籍がぎっしり。とりわけ社会思想、社会運動関連書はとても充実して一見の価値あり!
- 特色&今後の抱負・・・お伺いしたときは「小田光雄出版論」フェアを開催中でした。この4月から6月にかけては、「矢牧一宏さんの作った本」フェアを開催しています。
- ◆◇~◇~矢牧一宏さんの作った本~◇~◇◆
- 戦後の学生誌「世代」に始まり、昭森社、文教出版、河出書房、東京書籍、芳賀書店に編集者として勤め、自らも七曜社、天声出版、都市出版社、れおぽーる書房、出帆社と次々に版元を立ち上げては倒産を繰り返した矢牧一宏氏(1926~82)。当店在庫を集約展示して、一貫して「戦後」「日本」を問い続けた出版への意欲を再確認する。全点販売。《りぶる・りべろ店内企画第5弾チラシより》
こうした店内企画をきらさず継続して頑張ってゆきたいとおっしゃいます。今どき貴重な硬派の書籍にふれてみませんか?ぜひ一度訪ねてみてください(K)
本誌は昨年7月号よりリニューアルしましたが、このところ、神保町でもリニューアルが相次いでいます。
象徴的な3店をご紹介いたしましょう。
★神保町1丁目靖国通り沿いの山田書店美術部は、テナント(沙羅書房さん)の移転を機に、2006年にリニューアル。
8階建てのペンシルビルを建ててから、なんと30年ぶりのことです。
「荷風書誌」が飾られたお洒落なウインドウを眺めながら階段を上ると、黒を基調にきりっとしたスマートでシックな空間が広がります。
北斎120万円、ディック・ブルーナ10万円・・・版画・肉筆類がゆったりと展示されたギャラリー。
細かく分類され整理された128個のひきだしから、お客は自由に作品を取り出して、広げてじっくりと鑑賞することができます。
普通の画廊と違うのは、これらの作品の芯に必ず「本」があること!
扱う版画家や作家は、本の装丁や挿絵を手掛けるなど、何らかのかたちで本に関わっているのです。
ご主人はもともと装丁や挿絵にこだわりながら文学書を扱ってきましたが、だんだんと「絵」の方へシフト。
一時は完全に画廊にしようと考えられた時期もあったようですが、やはり「本」への思い入れは大きかったようです。
4階にBOOK ART山田書店として、資料的な美術書を揃えているのも、そんな「本」にこだわり続ける思いの表れでしょう。
こぎれいにして楽しんでもらう空間と、資料を探してもらう場とはっきり分けて、とにかくお洒落で見やすいお店をこころがけたそうです。
以前からのお客様の中には、山田書店とわからなくて入口で引き返してしまう方もいらしたとか(笑)。
でも、きれいになれば信用度も上がります。
売りにいらっしゃるお客様にとっても、高額商品でも売りやすくなるのでしょう。
きれいな状態を保つため、6階の倉庫はモノがたまって大変だとも伺いましたが、自分自身が居心地良い店なら、お客様もゆったり過ごせるはず。
大きなリニューアルは無理でも、品物はたとえ売れなくても定期的に入れ替えて、新しさを保ちたいとのこと。
再開発で神田村がなくなり、以前は感じられた人の息遣いがなくなってしまいさびしいが、なんとか「本の街」としての魅力をアピールしてゆきたいとおっしゃいます。
★神保町2丁目、岩波アネックスビル2階の秦川堂書店は、この5月に新装オープン。
1977年に古書センターへ出店、1981年に岩波アネックスビルに移ってから、25年ぶりのリニューアルです。
隣に入ってらした山陽堂支店さんが引っ越したので、その後の場所を増床しました。
入口壁面の大きなウインドウには大きな日本地図・・・ここは、2、3週間でかけかえ、いつも新鮮な見せ場がつくられています。
京風の格子がなんともいえない風情を醸し出す店内は、25年前に入店した際のデザイナーが再び手がけたもの。
京のえはがき便利堂との調和も美しい、「和」の空間です。
17坪から27坪へと広がりましたが、本の量は増やさずに、データ化して倉庫に整理して、整然とした棚とゆったりと人が行き交える通路をとりました。
広々したカウンターは、大きな地図でも広げられる書見台でもあります。
グレード感漂う店内の雰囲気は、とりわけ外国人の方に人気とか。
東京関連資料、地方誌、鉄道関係、植民地関係など分類されたそれぞれの棚が、すべて「地図」とリンクし、お店の特色を作り上げています。
ネットでは広くPRしつつ、カタログも軽めのものと重い物の2本立てでお客のニーズをしっかりつかみます。
データは全部は見せずに引っ張る工夫を凝らし、できるだけ来店して実物をみていただきたいそうです。
以前のように、何があるかわからない店内に馴れたお客様は、すっきりしすぎて居づらい方もいらっしゃるようです。
わざわざ、整理中のごちゃごちゃした山のそばに寄ってくるお客様もいるそうですから。
でもゆったりした空間でお店番も楽になったと伺いました。
帳場から、格子窓を通してみる神保町風景もまた格別です。
★古書会館の裏手、小川町から神保町1丁目のすずらん通りへと3月に移転開店したのは、ボヘミアンズ・ギルド。
新刊のふくろう書店隣のビルです。
1階は美術、デザイン、写真、建築、思想関係の画集や評論が充実。
2階は限定本、署名本、初版本などの希少なものに、自筆もの、版画類、美術品のギャラリー風。
小川町のお店もかなりオシャレなつくりでしたが、それが2倍の広さにスケールアップした感じです。
機能重視で、よいものに見えればOKという思想で、内装や什器にあまりお金をかけていないとおっしゃいますが、どうしてどうして。
とてもセンスの良いきれいなお店で、同業者からもきっとうらやましがられるのではないでしょうか?
これまで倉庫においてあった大きな画集なども極力出してきて”見せる”ようにしました。
階段部分も含め、壁面には50~60枚の額が掛かり、お客様に”見ていただく”展示を一層強化しています。
一方で、小川町の店同様、”ゆったりとくつろぎながら見てください”という方針はそのまま。
テーブルにはかわいらしいコーヒーツリー。
お客は好きなコーヒーを選び100円で(原価サービス!)のんびりと本や美術品にひたることができます。
移転で人通りは10倍に、売上は5倍になったと伺いました。
小川町に出店した時にも「本の街」の力は感じたそうですが、今回それに加えて、小川町と神保町の100メートルの差=通りの力も痛感したそうです。
窓口としてのネットの活用も重視しながら、やはり本を求めて神保町を訪れるお客様へきちんと対応できるお店でありたいとのこと。
神保町では夕方6時半くらいで閉まるお店が多いのですが、ちょっと遅く7時半までの営業。
やわらかな温かいライトが夕闇に映えるお店です。
以上、3店の住所・連絡先などは以下の通り。
夏休みの神保町巡りにぜひどうぞ!
★山田書店美術部 〒101-0051 千代田区神田神保町1-8 山田ビル
★秦川堂書店 〒101-0051 千代田区神田神保町2-3 岩波アネックス2F
★ボヘミアンズ・ギルド 〒101-0051 千代田区神田神保町1-1 木下ビル1・2F
☆神保町のすずらん通りにあった書肆アクセスが惜しまれながら閉店しました。
小社も大変お世話になっていましたが、このほどリニューアルした東京堂書店の3Fに、アクセスの精神を受け継ぐ「地方小リトルプレス」が新設されました。
地方・小出版流通センターの取扱い書籍に加え、ミニコミや同人誌も置くなど、アクセスの雰囲気復活?
アクセスの元店長・畠中さんにも会えます!
アクセスで扱っていた本の一部は、三省堂の4階の地域小出版流通センターコーナーでも買うことができます。
★BONDI BOOKS 〒101-0051千代田区神田神保町2-7-2F
- TEL&FAX 03-3556-9299
- URL http://www.bondibooks.com
- MAIL bondibooksjp@yahoo.co.jp
- 営業日・営業時間 水・木・金・土曜日の13時~19時 (他の日時でも予約はOK)
- 開店 2008年2月22日
- 取扱い 和洋の写真集、洋書の美術、小説初版本、ビート・ジェネレーション、ファイン・バインディング、絵本など
- 販売形態 店売り、ネット販売、アンダーグラウンド即売展に参加
- 店名の由来 ご主人ジョシュ・キャリー氏はオーストラリア出身。かつてお住まいがあったシドニーのボンダイ・ビーチに因んで名づけたそうです。
- 開店まで 日本人の奥様と一緒に、流行すたりのない長くできる仕事を、ということで古本屋に。はじめは吉祥寺で外国人向けに洋書を販売していましたが、5年経験してきて「古本屋が一生の仕事」と実感、街の古本屋からレアブックを扱う専門店への飛躍を目指して神保町へ進出しました。すでに2年前から古書組合には加入していて、洋書会の会員として活躍しています。はじめは市場でも奇異の視線を向けられたりしましたが、毎日市場に通い、洋書会の仕事を積極的にこなしてゆく姿が、まわりの意識を変えました。今ではすっかり古本屋仲間の一人として認められています!
- お店の紹介 お店は神保町2丁目、風月洞さんが入っていたところです。神保町交差点から靖国神社方向へ、北沢書店を過ぎ、小川図書の隣のビル。階段を上ると入り口には直輸入の雑貨(ネットでも見られますが、E・A・ポウの顔のクッションやTシャツなど楽しい!)、店内には、写真集や美術関連を中心にきれいな洋書がぎっしり。三島の「薔薇刑」や土門拳の写真集をバックに帳場に座っているのがジョシュ氏と奥様。伺ったときちょうど洋書を売りに来たお客様がありましたが、とても親切に対応されていました。もちろん、日本語はばっちりですから、英語を話せない方でも全然心配いりません。
- 今後の抱負 日本の古本屋はとにかくスゴイ!自分の得意な洋書も負けてしまうくらい、プロがいっぱいいるし、本の知識も本への愛着も素晴らしい!毎日すごく勉強させてもらっています!と、ジョシュ氏は仰います。一方、ジョシュ氏に古書組合への加入を勧めたのは、かげろう文庫さん(以前このコーナーでご紹介したこともあります)ですが、そのかげろうさんは「ジョシュ氏の意欲とセンスは素晴らしく、すっかり追い抜かされてしまいましたよ!」とにこやかに賛辞をおくります。ジョシュ氏のものの見方や考え方に学ぶところは大きく、実際、その独自の感性によって新たな本の価値が見出されてもいるそうです。・・・そんなジョシュ氏の目標はILABのメンバーとなってNYやロンドンのブックフェアに出ること。この1月にはロスでの写真の展示会に、出版社やギャラリーに混じって出店、手ごたえを得ていらしたようです。世界と日本の文化のかけはし=BONDI BOOKSさんへ、ぜひ一度足を運んでみてください!!(K)
★風月洞書店 〒101-0051 千代田区神田神保町1-15 清田ビル
- TEL&FAX 03-3219-6006
- URL http://huugetudo.cool.ne.jp/
- メール huugetu@pop06.odn.ne.jp
- 開店 2007年12月17日
- 営業時間 10時半~6時半
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱い 古美術のための考証資料、陶磁、工芸関係、茶道、華道、仏教美術、民芸、書画、趣味
- 販売形態 店売りのほか、古書会館の書窓展に参加、ホームページもありますが、主体は店売りです
- 店名の由来 「山川異域 風月同天」=山や川に国境はあるけれど、そよぐ風や、眺める月には隔てはありません、同じひとつの天にあるではありませんか・・・という長屋王の詩から。天平の昔に想いを馳せて店名に引用されたそうで、HPにも説明があります。
- 移転開店まで 神保町2丁目のお店は平成3年からですが、それ以前も含め、お店の歴史は30数年になります(ちなみに、ご主人は63歳)。移転のきっかけは偶然だったそうですが、決まってからの準備はすばやく、昨年暮れにはもう綺麗なお店が出来上がっていました。馴染みのお客様が、引っ越し祝いに来てくださり、お花やお菓子などがたくさん届いたとか。以前は波多野ビルの2階でしたから、1階に移り、しかもすずらん通りということで、通りがかりのお客様がかなり入ってくれるようになったそうです。
- お店の風景 お店はすずらん通りの郵便局から30mほど、11月まで書肆アクセスがあった場所です。地下鉄神保町駅利用なら、A7出口が便利。入り口のガラス戸には「桜の園」のポスター。左右壁面には、金工・木工などの工芸関連、焼き物関連、それに茶道・華道・香道などの本が高くそびえる棚にぎっしり。初心者向けの入門書から江戸期の資料までが揃います。真ん中には韓国李朝時代のバンダチという脚付きの箪笥と、グリーンをあしらった室町時代の常滑の壷。骨董好きのご主人が、30年以上も前に買われたものだそうで、とても素敵!。お客様から「売って欲しい!」との引き合いも多いようですが、残念ながらこちらは非売品だとか。でも、骨董好きのお客様との話のきっかけになるという効用もあると伺いました。店内にはお香も焚かれ、和やかな雰囲気のなか、ゆったりと本を選ぶことができます。一般の古美術愛好家の方から、博物館・美術館関係者、文献を探しに来る骨董屋さん、そして”和”ブームにひかれる女性客まで幅広いお客様が訪れます。
- 今後の抱負 1月いっぱいくらいは、店舗移転記念1割引セールを実施中!店頭の均一ワゴンも全て割引だそうですから、急いでください!「古美術のための考証資料・文献に力を入れる」方針は、開店以来ずっと変わっていないそうで、今後もそのスタンスは不変と仰います。流行り物に流されることなく、そういった「基本の本」を大事になさる一貫した姿勢に頭が下がります。決して多くはない同好の士とともに、本と骨董の世界を楽しんでゆきたいと仰るご主人。骨董歴35年のご主人が集めた珍しい骨董類も、この新店舗でいずれ開陳されることがあるかもしれません。是非一度足を運んでみてください。なお、ご主人は、「月刊 ほんのまち」に「古くて一寸心に残るもの」を連載中です。(K)
このコーナーでは、気になるニューフェイスを適宜ご紹介してゆきます。
日本古書通信2006年2月号~7月号では、これまでこのコーナーでご紹介してきた中の、神保町の古本屋さんをまとめて、ここ数年の動きをご覧いただこうと企画。営業時間などが変わったりもしていますし、改めて取材に伺い、確認させていただきました。神保町めぐりのお伴にして下さい。
皆様のお近くでおすすめの古本屋さんはありますか。お気に入りの本屋さんがありましたら是非教えて下さいませ。
★文省堂書店 〒101-0051 千代田区神田神保町1-27 渡辺ビル1F
- TEL 03-3291-9264
- FAX 03-3291-9266
- http://www.bunsho-do.com
- 開店 2006年6月8日
- 営業時間 10時~19時、日曜・祝日は10時~18時
- 取扱い サブカル(漫画・写真集・映画関係・スポーツ関係・宝塚関係など)
- 開店まで 小宮山書店の裏手に、昭和40年代に創業して以来ずっと大衆向けの本や雑誌を扱ってお客様に喜ばれてきたお店です。しかし、これまでの場所はビル化のため、今年いっぱいで閉めなければなりません。代わりに、その先、すずらん通りを横切って少し行った左手に新店舗を開店することになりました。広さが1・5倍になり、スポーツ関係や宝塚関係など取扱いの幅も広がり、ガラス張りの広い入り口・明るい店内で、女性客も入りやすくなったと思います。
- 名物の均一 文省堂さんといえば、いまや神保町名物のひとつになった100円均一。開店したときに既に雑誌のテーブルだけはちゃんと100円均一だったそうです。その後、表の壁面に棚をつくり、3年ほど前まで4冊100円で有名でした。今は1冊100円ですが、毎日大きな袋やカートをひっぱったお客で賑わっています。もちろん、新店舗でもこの名物棚はしっかりあります!しかも店内ですから、雨の日でも安心。お楽しみが増えましたね。先日も、お客さんが「この棚、全部100円?」と驚いていました。「趣味の宝庫」の看板通りのお店です。暮れまでは2軒はしごでお楽しみ下さい。(K)
★がらんどう 〒101-0051 千代田区神田神保町1-34 第一越路ビル
- 開店 2005年11月30日
- 営業時間 11時~19時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱い 民俗・生活・美術・写真・文学・雑誌・駄玩具(S30年代)・生活雑貨(戦前~)・レコードほか古書全般
- URL http://www.garando.jp
- E-mail info@garando.jp
- 店名の由来 お寺の「伽藍堂」のように、老若男女が集まる場所になることを目指して命名。
- 神保町店開店まで もともとは愛知県安城市に本店を持つお店。現在、安城市に3店舗、碧南市と岡崎市に各1店舗あり、どれも「本と雑貨の店」ですが、少しずつカラーが違うそうです。最初のお店を開いたのは1985年。今でこそ、新刊書店のヴィレッジヴァンガードのように、本と雑貨を一緒に並べる店は増えましたが、当時はまだそのようなスタイルは殆どありませんでした。かなり時代を先取りしていたと言えるでしょう。また、単に一緒に並べるのではない、メッセージ性がはっきり見えるのもこの店ならでは。「甦れ60年代!」は、当時から一貫して掲げ続けるキャッチフレーズ。昭和レトロブームも今ほどではないころから、ずっと「昭和の熱い時代」に目を向け、そのような視点で本とモノを見つめて伝えようとしてきました。ここ数年は併設のギャラリーで、講演会や展覧会などの多彩なイベントも企画しています。しかし、神保町への出店は以前から計画していたわけではなく、昨年秋、上京した際に偶然物件に巡りあったとか。本や品物を並べるのも、殆ど3日くらいという猛スピードで開店までこぎつけたそうです。
- お店紹介・今後の抱負 お店は、地下鉄神保町駅から数分。A5出口を出て、山田書店を過ぎ、ランチョンの手前の道を左折、少し行った右手にあります。もとくだん書房さんだったところ(くだんさんは近くのビルに移転しました)。ガラス戸を開けると、懐かしい香りが広がります。天井から「プラチナ石鹸」や「ばらはみがき」の宣伝旗が下がり、壁には、お祭りで売っていたようなお面、帳場の上には、「カスケードビールポスター」¥157500。ガラスケースの中には、アンティークのガラス瓶やブリキのおもちゃなどレトロな雑貨がいっぱい。セルロイドの下敷¥500とか、紙石鹸なども並んでいて、思わず「子供の頃使ってた!懐かしい!」と手に取ってしまいました。こう書いてくると、なんとなく軽い本が多いのかしらと思われるかもしれません。NO!本棚には民俗や美術関係などを中心に古いものから新しいものまで、雑誌の付録から硬い書物までギッシリ詰まっています(小社の「書物関係雑誌細目集覧1・2」も並んでいてちょっと嬉しい)。平和や人権を考えさせる本が並ぶ棚も充実していて、お店の「思い」が伝わってきます。客層が広いというのも納得・・・。開店して3ヶ月。安城市では動かなかった本が動いたり、、本やレコードを作る側にいた人がお客として訪れたりと、やはり神保町はすごい!と感じるそうです。老舗をはじめ古本屋さん仲間が、展示方法やらなにやら教えてくれるといったサポートも嬉しいとのこと。店長さんはまだお若いのですが、とても真面目に本に向き合っている方。お勧めの1冊は?と伺いましたら、「ヒロシマの嘘」福島菊次郎著(現代人文社)を取り出してくれました(迷わず買いました)。時代は変わっても、開店当初から目指す方向は不変。本やモノを通して人と人とが繋がって行けたらという、がらんどうさんを是非訪ねてみて下さい。(K)
★古書ビブリオ 〒101-0051 千代田区神田神保町1-25 叶ビル1F
- TEL&FAX 03-3295-6088
- 開店 2005年12月22日
- 営業時間 11時~19時
- 定休日 日曜日 ※今年のお正月は12月31日~1月4日休み
- 取扱い 野球をメインに武道、スポーツ関係全般の書籍、雑誌、グッズ類
- URL http://bibl.jp
- e-mail biblio@blue.ocn.ne.jp
- 目録・即売展など 冊子目録の発行や即売展への参加の予定は今のところなし。お店とネットによる販売です。
- 店名の由来、開店まで 「ビブリオ」という店名は、世界中、誰が見ても本屋だとわかるように付けられたそうで、さすが、いち早くネット販売を取り入れたご主人ならではのお名前。神保町の玉英堂書店さんで7年間修業の後、独立・開店したのが98年、まずお店を出されたのは代々木でした。受験生の聖地でリサイクル率のよい学習参考書を揃え、並行してネット販売。古本屋さんの中では、かなり早い時期からの参入だったといえるでしょう。取扱い分野を広げて、2001年には渋谷にビブリオ・スポーツを開店、2店舗を経営されてきました。しかし、複数の店舗を経営される方には共通の悩みなのでしょうが、どうしてもご自身の移動に時間をとられてしまいます。時間的余裕を生み出すためにも、ひとつにまとめて、市場に近くていろいろと便利な神保町へと移転開店することになりました。
- お店紹介、今後の抱負 お店は駿河台下の交差点からすずらん通りに入り、東京堂書店の手前で左折、ちょっと行った左側角地にあります。つい先日まで翠光堂書店さんが入っていた場所(ちなみに翠光堂さんは、すずらん通り、三省堂書店向かいのビルの2Fへ移転されました)。伺ったのは開店初日。寒風吹きすさぶ中、馴染みのお客さんが何人も訪ねてきていました。南側と西側の両面がガラス張りなのですが、まずヴィジュアル系を表に出した南側に注目!一面の赤いボードをバックに東京オリンピックポスター¥63500や、力道山サイン色紙¥48000、ヴィクトル・スタルヒン300勝記念サイン¥315000などが華やかにディスプレイされています。もちろん、日焼けは大敵ですから、UVカットのシートを全面に貼っての展示です。南側の外に並んだ書棚には、赤本を含む参考書類がギッシリ。受験生の強い味方になりそう。新刊書店で買う前に要チェックですね!お店の中には、一番売れるという高校野球関連の雑誌をはじめ、いろいろなスポーツ関係書籍や雑誌が、25本の本棚にいっぱい。渋谷の15坪のお店の分が、現在の8.5坪に凝縮されて詰まっています。本誌12月号で横田氏が明治・大正のスポーツ珍本について書かれていますが、そのような古い黒っぽい本もレジ手前の左手の棚に収まっていました。レジ前には、サインボールやモハメド・アリのサイン入りヘッド・ガードなどのグッズも並んでいます。本だけではなく、メモラビリアと言われるこれらの記念品などにも力を入れ、トータルで楽しめる店作りを目指しているのだそうです。独立前に訪れたロンドンの最も古い古本屋さんに感動し憧れていると仰るご主人。じっくり本と向き合う時間もできたし、これからもっと品揃えを充実させて世界一の野球本屋になりたいとのことでした。隔月刊雑誌「野球小僧」に、「ビブリオ探検 なんじゃコレ?」というコラムがあります。その時々にビブリオさんのお店で見つけた1冊を紹介するというコラムで、もう数年続けていらして結構宣伝効果があるとか。遠い方は雑誌やネットから、そしていらっしゃれる方は、是非、1度お店を訪ねてみて下さい。(K)
★北沢書店&ブックハウス神保町 〒101-0051 千代田区神田神保町2-5 1F=ブックハウス神保町 2F=北沢書店
- TEL 03-3263-0011 FAX 03-3263-0015(北沢書店)
- TEL 03-3261-5691 FAX 03-5210-5999(ブックハウス神保町)
- 開店 2005年10月12日
- 営業時間 11時~18時半
- 定休日 水曜日
- 取り扱い 洋書専門 英米文学・歴史・哲学・東洋関係・絵本・英国美術
- URL http://www.kitazawa.co.jp
- お店紹介 2丁目にそびえる瀟洒な北沢ビルを目にして、その雰囲気に魅かれつつも、物怖じしてしまって足を踏み入れることができなかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。先日リニューアルオープンしたビルにもう一度行ってみて下さい。その変わり方にびっくりされることと思います。1Fにはブックハウス神保町が新しく開店。再販制の弾力的運用のひとつとして、「謝恩価格本=バーゲンブック」を常設的に置くと、先日のNHKのニュースでも大きく取り上げられました。店の半分は児童書で、フロアの真中の大きな広~いソファ(これがもったいないくらいの空間!)で好きなだけのんびりじっくり本を読んでいられそう。子供には贅沢過ぎるくらいのお店です。2Fへ階段を上り、赤い桟で縁取られたキレイなガラス戸をくぐると、新装なった北沢書店。まるで映画に出てくる外国の本屋さんみたい。手前にはかわいらしい絵本や小物も並べられ、読めなくたって見るだけでワクワクしちゃいます。壁には美しい複製画がかかっていて、これもまた目を楽しませてくれます(伺ったときは美しいバラの絵が飾ってありました)。もちろん奥の棚には、重厚な書籍もたくさん詰まっていますのでご安心を!これまでのお客様を大切にしつつ、1Fと協調しながら門戸を広げていろいろなお客様に足を運んでいただこうとの方針が伺えます。さあ、子供の手を引いて、ぐっと入りやすくなった北沢書店さんを尋ねてみませんか。(K)
番外編 複合型イベント的古書展3種ご案内
★アンダーグラウンド・ブック・カフェ vol.6
- 10月16日(日)~18日(火) 東京古書会館地下ホール
- 参加店 かげろう文庫・玉英堂書店・河野書店・中野書店・西秋書店・西村文生堂書店・森井書店・山田書店・呂古書房
- 同時開催イベント
- 16日~18日 古書会館2F イソップと西洋文学の挿絵展 (無料) 15世紀以来の英文の「イソップ寓話集」の30数点と江戸期から昭和期までのイソップ挿絵40点ほどを併せて展示。和洋の比較を試みます。また西洋文学の挿絵本では「ヨブ記」「神曲」「白鯨」「不思議の国のアリス」などお馴染みの古典作品の挿絵本50点余りを展示いたします。これだけの著名挿絵本が一堂に展示されることは稀であり壮観です。壁面には、文学作品をテーマとした蔵書票も展示します。展示品を所蔵するのは、内田市五郎氏と武藤禎夫氏で、16日午後2時、4時の2回、両氏による解説も予定されています。
- 16日午後7時~8時半 坪内祐三トークショー (無料) ゲスト 亀和田武氏 「極私的東京名所案内」サイン会予定
- 17日午後7時~ 黒船レディと銀星楽団「古本屋のワルツ」ライブ (1500円)
- 18日午後7時~9時半 「中井英夫戦中日記」&「渋沢龍彦との日々」刊行記念トークショー
★印刷解体 vol.2
- 9月30日(金)~10月17日(月) 渋谷パルコ ロゴスギャラリー
- 企画 古書日月堂 ㈱パルコ
- 日本の文字印刷を支えてきた「活版活字」を中心に、活版印刷にかかわるモノすべてと、印刷にかかわる書籍・雑誌や、印刷技術の変遷を伝える紙モノを販売。
- 同時開催イベント
- 9月30日午前10時~10時半 および 10月8日午後2時~2時半 文選・植字ライブ (ライブ中は販売休止)
- 10月8日午後4時~6時 および 10月13日 午後6時~8時 活版印刷名刺フルオーダー受注会
- 10月2日 および 10月10日 午前10時半~12時半、午後3時~5時 地金彫刻実演
- 10月9日 午後1時~2時、午後3時~4時 卓上活版印刷機 adana によるポストカード印刷実演
★本のバザール vol.2
- 12月22日(水)~28日(火) 松坂屋銀座店7F催事場
- 「古本と出会う、古書とつきあう」(仮題)
- イベント 児童本コーナー。体験コーナー。手作り絵本やブックカバー、美術作品などの製作品や個人コレクションを展示即売できるフリーマーケットスペースを設ける予定。
- 春に東京古書会館で開催され、好評を博したイベントの第2弾。古本屋による読書運動ともいえる企画です。詳細が分りましたら、またお知らせ致します。(K)
★Dio カルチャービレッジ 〒101-0051 千代田区神田神保町1-13 神保町勝ビル1F・2F
- TEL&FAX 03-323-0807
- 開店 2Fは昨年、1Fは2005年8月15日
- 営業時間 平日11時~21時、土曜11時~20時、日曜・祝日11時~19時
- 定休日 原則として無休
- 取り扱い
- 1F 一般古書、写真集、アイドル系雑誌、ビデオ、DVD、ゲームソフト、ボトルキャップなど
- 2F グラビア系雑誌、DVD、ビデオなど
- 目録 HPなど HPは写真集のみを掲載、基本は店売りです http://www.dio-cv.com/
- 開店まで 5年ほど前に中野駅南口にお店を開き、縁あって昨年神保町に進出。はじめは神保町勝ビルの2Fでしたが、今回、ブックス湘南の移転に伴い、1Fにもお店を拡張することに。店名は「”文化村”的に広い意味でのサブカルチャーを扱う」との思いからつけられました。かんたんむさんで修業された”相棒”の方と共に開いた、明るいサブカルスペースです。
- お店紹介 今後の抱負 お店はすずらん通り、湘南堂さんの、路を隔てた隣、もとのブックス湘南のところの1、2Fです。店頭には100円均一ワゴン、入口付近の棚には「古本屋の手帖」や「蒐書日誌」など古本関係書籍も含め、いわゆる一般書や文庫が並んでいます。これらの書籍の量は多くはないのですが、とにかく本がキレイ。キレイ好きの女性も安心して買えそうです。奥にはアイドル雑誌や写真集がたくさん詰まっています。びっくりしたのはレジ横のGケース。ずらりと並んだボトルキャップは壮観です。今回のスター・ウォーズ・シリーズものもたくさんあって、200円、600円、1200円とか値段がついていました。うーん、集めきれなかったアナキン、買っちゃおうかな・・・。ドラえもんやポケモン、ラスカルなども並んでいて、子供も喜びそうな感じ。それから、棚には「レシートの5%を次回割引します」と貼ってあります。売った場合も買った場合も、1000円のレシートなら次回50円分を割り引いてくれるということ。こういったサービスもリピーターが増える理由でしょう。「いいものを適正価格で」という方針で、売りやすい価格・買いやすい価格を設定しているそうです。いずれは映画や音楽などの方面も充実させ、店名通り、広くサブカルを扱うお店にしてゆきたいとのこと。是非1度、お店をのぞいてみて下さい。(K)
★BOOK DASH (ブックダッシュ) 〒101-0051 千代田区神田神保町1-25 神保町会館1F
- TEL 03-3219-5991
- 開店 2000年 BOOK DASHとしての出発は2004年10月
- 営業時間 12時~20時
- 定休日 年中無休
- 取り扱い 写真集、グラビアアイドル雑誌、アニメロマンアルバム系、特撮系ムック、ちょっと古めのマンガ、映画、ビデオ、DVDなど
- 目録 HPなど 店売りとネット販売の2本だて。冊子目録や即売展参加はしていません。 http://www.bookdash.net
- 開店まで 本道楽さんで5、6年修業されたのち、2000年に現在の場所に開業。HPでも”神保町に店がある”ことを強調されていますが、やはり、”神保町”の場所には絶大な信頼があって、お客様に信用していただけるとのこと。郊外の店では一般的な品揃えしかできないけれど、神保町では、自分の好みを反映した店作りができるというのも魅力だとおっしゃいます。昨年秋からBOOK DASHという店名になりましたが、これは奥様の命名。因みに、店売りはご主人が、ネットは奥様が、と分担して、息のあった両輪となっていらっしゃるようです。
- お店紹介、今後の抱負 お店は駿河台交差点からすずらん通りに入り、最初の路地を左折したところ、神保町会館というビルの1階にあります。店の前のカゴには雑誌が入っていたり、雑貨が入っていたり、おもわず足を止めて覗いてしまうことも。店に入るとまず、正面に飾られた「レオ」の扇子(¥3000)が目につきます。カワイイ!入ってすぐの左手には、ちっちゃなキューピーやらぺこちゃんやら、¥300くらいのこれもカワイイグッズ類がぶらさがっていたりして、ほのぼのした雰囲気。ちょっと懐かしめのマンガも並んで、昔の駄菓子やさんみたいな、わくわくする何かがあります。(左手の棚の金色に輝くまねきねこもすごく目立つのですが、こちらは商品ではないそうです。あしからず!)もちろん、写真集やグラビアアイドル系も充実。お客さんは若者?と思いきや、意外に中年のサラリーマンも多いそうで、取材中にも、背広姿が(あれって仕事中じゃないのかな・・・)何人も出入りしていました。「現物の持つオーラを大事に、お客さんと一緒に面白い店作りをしていきたい」とおっしゃるご主人は、本だけにこだわらず、自由な発想で柔軟な品揃えを目指します。「なんだこれ?」的な小物類や、ちょっと面白い子供のもの、ちょっと変わった付録類など・・・「これは扱いません」というのが基本的にはないそうで、他では扱いませんよと言われるようなモノにも光が当てられるかもしれません。是非1度、足を運んで楽しんでみて下さい。(K)
★トキヤ書店 〒101-0051 千代田区神田神保町1-5-1
- TEL&FAX 03-3295-6221
- 開店 2005年1月
- 営業時間 11時~20時
- 定休日 原則として無休(年末年始のみ休み)
- 取り扱い タレント・アイドル中心の写真集、雑誌類
- 目録・HP・即売展 冊子目録・即売展は予定なし HPはいずれ開設したいとのこと
- 店名の由来 トキヤは「時刻屋」。時を刻み、長くやっていこうという思いがこめられているそうです。
- 修業歴・開店まで 古書かんたんむさんで7~8年修業した後、まず高円寺にお店を開きました。が、1、2年で神保町へ移転することに。羊頭書房さんと同じ神保町会館ビル内に店を出されたのが、羊頭さんよりちょっと早い2000年の初めころでした。そこではアニメやマンガ、映画パンフなどサブカルチャー一般を扱っていましたが、今年の1月、すずらん通りのかんたんむさんが古書モールへと移ることになり、それに伴って、かんたんむさんの場所にトキヤ書店さんが入ることになりました。ご主人いわく「かんたんむさんに助力をいただきながらここまで来ました」とのこと。基本的には内装などもそのまま、棚を入れ替えたくらいなので1週間程度で引越しがすんだそうです。
- お店紹介・今後の抱負 お店はすずらん通りの中ほど、もとのかんたんむさんの場所です。1Fは、アイドルが微笑む雑誌や写真集が飾られ、GOROやヤングジャンプ、ヤングマガジンなどのバックナンバーがきれいに整理されて並んでいます。帳場の後ろには、お客様からもらったという「ベンザブロックSP」の時計がちゃんとほこりよけをして飾ってありました。明るい雰囲気で、女性でも気軽に入れそうな感じ。実際、カップルで入ってくるお客も多いそうです。(2Fはちょっとアダルト系も多いようなので覗くのは遠慮させていただきましたけど)神保町会館のお店のときは、アダルト系のものは扱えない規定だったそうで、ここへ移って商品構成を広げることが可能になったと伺いました。これから週刊雑誌などにも力を入れ、種々雑多な品揃えでお客を楽しませたいとおっしゃいます。「まだまだ未完成なので何でもやるつもりで頑張ります!」とのこと。是非1度たずねてみて下さい。(K)
<番外編>
★池袋西口公園古本まつり
- 4月20日(水)~26日(火) 雨天中止
- 池袋西口公園 東京芸術劇場前
- 10時~20時 (最終日は18時閉場)
- 東京、首都圏50店、30万冊の品揃え
- 東京北部古本屋マップ無料配布予定
- 主催 池袋西口公園古本まつり実行委員会
- 後援 豊島区
- お問い合わせ先 八勝堂書店 豊島区西池袋5-2-10
- TEL 03-3981-1870 FAX 03-3981-3084
★不忍ブックストリートの一箱古本市
- 4月30日(土) 雨天の場合5月3日(火・祝)に延期
- 谷中・根津・千駄木エリアの書店、雑貨店、ギャラリー、カフェなど12店舗の軒先
- 最寄駅 千代田線根津駅・千駄木駅・西日暮里駅 JR日暮里駅・西日暮里駅
- 75人の出品者が一箱ずつ古本を持ち寄っての販売
- 不忍ブックストリートマップ無料配布(イラストがかわいい!) スタンプラリーあり
- 企画・運営 不忍ブックストリート実行委員会
- 問い合わせ先 往来堂書店 03-5685-0807 オヨヨ書林 03-3822-2955 古書ほうろう 03-3824-3388
心願社 〒101-0051 千代田区神田神保町1-44 駿河台ビル1F
- TEL 03-3259-4512
- FAX 045-506-1083
- mail:YIE01020@nifty.com
- URL http://homepage1.nifty.com/shingan/
- 開店 2004年5月
- 営業時間 13時~17時 (遠方よりのご来店はTEL確認後にどうぞ)
- 定休日 土・日・祝日
- 取り扱い 精神医学・心理学・哲学・東洋医学
- 開店まで 心願社さんは最初はネット販売から始められた方で、5年前にこのコーナーでもご紹介しています。そのとき「インターネット専門店を目指す」と仰っていらっしゃいましたが・・・と伺いましたら、「(ネットは)つまんないんだもん」と端的なお答えが返ってきました(笑)。でも今回の出店は、本当は荷物を運び入れるための物理的な理由で場所を探したところ、偶然1Fだったので店舗にしてみたとのことで、そんなに積極的に”店”を目指したわけではなかったのだそうです。しかし開店してみたら、「店って面白い」。パソコン通信の経験も長いご店主は、ネット上ではトラブルのもとになるので極めて事務的な文章しかやりとりできない、そのためお客様との繋がりは非常に希薄だと仰います。それに比べて店では馴染みになったお客様と直接顔を見て話せる楽しさがあり、お喋りの中からいろいろ勉強もできる、買い入れも増えた・・・など嬉しいことがいっぱい。どうしても店の方に力をいれるようになりました。「日本の古本屋」と「源氏」の両方にデータを載せ、入力は毎日なさっているそうですが、HPは1年以上更新していないそうです。
- 今後の抱負 お店は神保町交差点から白山通りを水道橋方向へ進み、友愛書房さんのところを右折したところにあります。13坪の店内は、最初はゆったりした空間があったのですが、徐々に本棚も本も増殖中。「お店に力を入れ始めたら品物があふれてきた」と、台車の荷物をまたいで、電話に走るご店主を目撃しました。今後はネットの方はある程度高い本に絞って載せ、店では、ワゴンでは安めの買いやすい広いジャンルの本を提供しながら、専門の東洋医学のコーナーを充実させて行きたいとのこと。将来的には東洋医学関係の専門目録を発行したいとも仰っていました。神保町の注目のお店のひとつ、是非1度足を運んでみて下さい。(K)
★神保町古書モール 〒101-0051 千代田区神田神保町1-1 三省堂第2アネックスビル5F
- TEL 03-3296-7870
- 開店 2005年1月3日
- 営業時間 11時~20時
- 定休日 年中無休
- コンセプト・取扱い 常時15店舗以上の出品棚入替制 (月極で月末に入替、全連組合員なら誰でも出店申込可能)。 月毎に出店するお店が変わりますので、取扱いは出店者によりいろいろ、多彩な品揃えを楽しめます。
- 出店者 1月現在17店 かんたんむ(主催) 安藤書店 かわほり堂 玉睛(きゅうせい) 古書自然林 古書すからべ せいしん 外口書店 隆文書店 中央書林 鶴本書店 とんぼ書林 柏林堂 ブックス丈 紅谷書店 ポラン書房 よみた屋
- お店紹介 お店は、駿河台下交差点からすずらん通りに入ってすぐ、コンビニampmの入っているビルの5Fにあります。(三省堂のすずらん通り出口を出て、すぐ右隣のビル)。通りに派手な看板が出ているわけではないので(規制があって結構難しいそうです)、初めての方はちょっと戸惑うかもしれませんが、覚えてしまえば、古書会館からも近いし行き易い場所でしょう。エレベータで5Fに上がると、50坪の広い空間に、ゆったりと棚が並んでいます。普通の古本屋さんなら、もっとぎっしり棚を入れるところでしょうが、重量規制のためできなかったとか。でも逆にそのお蔭で、通路が広くて見やすい空間になっています。並んでいる本は文学書あり、歴史などの学術書あり、美術書あり、サブカルあり、文庫・新書あり、全集あり・・・と様々。きれいにグラシン付きで整然と並ぶ棚もあれば、何が出るか判らない雑然とした棚もあり、まさに毎日が即売展状態。神保町という専門店街の中に、雑多な本を選べる場所が常にある、ということは嬉しいことですね。これまでネット販売だけだったお店の棚が見られたり、郊外の古本屋さんの棚を神保町でチェックできたり・・・お客様にとっては、とにかく定常的にいろんなお店に出会えるというメリットが大きいでしょう。新しい売り場を求めていた古本屋さんにとっても、一定の経費を払えば、補充もお任せ、レジにいる必要もないというこのシステムは、魅力のようです。
- 今後の抱負 2月になると1/3くらいのお店が入れ替わる予定だそうです。お客の立場としては、出店者の顔ぶれが変わってくれた方が面白いわけですから、毎月どのくらい変化するかがひとつのポイントでしょう。主催する「かんたんむ」のご主人は、これから新宿古書モールや池袋古書モールなど各地域に”輪”を広げてゆければと抱負を語っていらっしゃいます。「敷居の低い古書空間」ですので、誰でも気楽に入って楽しんでくださいとのこと。古書会館の即売展とのハシゴはもちろん、神保町初心者の方でも気軽に入れます。どうぞ、1度覗いてみて下さい。(K)
★松村書店 〒101-0051 千代田区神田神保町1-11 佐藤ビル2F
- TEL&FAX 03-3295-5678
- 開店 2004年9月18日
- 営業時間 11時~7時
- 定休日 日曜・祝日 (留守の場合もありますので、遠方よりご来店の場合はTEL確認を)
- 取り扱い 美術・ヴィジュアル系洋書 これからノンフィクション系も強化予定
- 目録・HP・即売展 2005年1月よりホームページ製作開始、また2005年中に冊子目録第一号を発行予定。現在、洋書まつりと青空展のみの即売展への参加も、増やす方向で検討中。
- 移転まで 松村書店といえば靖国通り、一誠堂書店の隣の、ちょっと雰囲気のある建物に、黄色の値札が付いた洋書がずらっと重ねて並べられている、そんな光景がすぐに思い浮かびます。現在のご主人・剛氏は4代目。曽祖父の松村音松氏が1893年に創業してから、なんと111年の歴史を誇るお店なのです。由緒ある建物でしたが、地盤沈下で数年前まではしょっちゅう水害にも悩まされ、老朽化は避けられず、移転の運びとなりました。3代目のご主人(剛氏の父)は、3月に現在の移転先のお店を契約したものの、新店舗を見ずに亡くなられました。ダルメシアンのような犬(実は雑種だそうですが)のハナちゃんを散歩させていらした姿を見かけた方も多いのではないでしょうか。
- お店紹介 新店舗は一誠堂書店の脇の路地を入り、喫茶店「枝」(ブランチとよみます)の2Fです。一誠堂さんの前に目立つ「顔」の看板があり、お店の外にもあるので、すぐわかるはず。階段を上り、入ると左手に「松村書店」の重々しい看板。これは初代・音松氏の字なのだそうです。その隣のガラスケースというよりは飾り棚というべき棚は、2代目のご主人(剛氏の祖父)の時代からのもの。2代目のご主人は、天理の中山真柱と親交が深く、一緒にヨーロッパに買い付けに行った際、ある古本屋で地球儀を入手、当時の価格で1億円だったという逸品50個は、今、天理に並んでいるそうな・・・。その頃の思い出の詰まったものでしょうか、皮製の地球儀が帳場の前に飾ってありました。複製ではあるといいますが、かなり古いもので、現在鑑定を依頼中だそうです。店内は、ダークブラウンの無垢材を天井まで届く金属製のポールが支えるつくりの書架が立ち並び、ハロゲンライトの優しい光りが本を照らす、こじんまりした空間。300円の絵本やペーパーバックから、重厚長大な美術書・洋書までが並びます。もちろん並べきれない在庫もたくさんあって、8畳のコンテナ2個分が所沢にあるとか。洋書には大きすぎて売りにくい本も多く、この夏から古本祭りにかけて数冊売った「THE BIRDS OF AMERICA」は、1メートル以上の大冊。うーん、体力勝負ですね。開店したKEIZOさんが、美しい洗練されたお店なのに対して、こちらは、多少雑然とした中から掘り出しものを探してくださいという感じでしょうか。
- 今後の抱負 よくカレー屋さんの看板に間違えられるという「顔」の看板と同じ顔のご主人・剛氏は、とても気さくな話ずきの方。本を面で見せつつ少しずつ重ねて並べるというやり方は、見易いけれど取り難く、お客様がよくバラバラと本を落したものだ、とか、洋書の糊の臭いは各国で異なり、東欧系が臭い、とか、楽しい話しを伺っているうちに、気がついたら2時間が経過していました!一見、豪放磊落な感じですが、値札に他店との比較、国内レートとの比較などを記したり、コメントを入れたりと、細かな気配りも見えます。せっかく足を運んでくれたお客様をがっかりさせないようにと、探求書などもかなり親切に探してくださっている様子。名刺には、「明治大正昭和、時代を三つ越えて」とのキャッチフレーズがありますが、これまでの形に見えない財産を大事に、無理をせず足元をかためてゆきたいとのこと。ご主人の顔を見に(?)、是非1度、訪ねてみて下さい。因みに、帳場には、あの顔のシャチハタが黒・赤4種もありました!(K)
★かわほり堂 〒101-0064 千代田区猿楽町1-4-4 STビル102
- TEL&FAX 03-3292-1623
- 開店 2004年6月26日
- 営業時間 11時~7時
- 定休日 日曜・祝日
- 取り扱い 文学・美術 近代文学を中心に、翻訳文学、和本、洋書まで。
- 目録・HP・即売展 開店に先立ち、冊子目録第1号を6月10日に発行、10月に第2号を発行。年3回の発行を目指す。即売展は今夏、池袋西武デパート展に初参加。9月からは古書会館の書窓展に参加している。HPも来年あたりには開設して積極的にPRしてゆきたいとのこと。
- 開店まで、店名の由来 かわほり堂さんは、福原氏と野村氏というお二人の共同経営のお店です。福原氏は、神保町のけやき書店さんで、学生時代から10年ほど修業されました。野村氏は、京都のさばと館(”は”という漢字が出ないのでひらがな書きですみません)にお勤めでした。お二人とも江戸の漢詩に興味をお持ちで、その勉強会で知り合ったそうです。共に本を愛するコレクターが、本を愛する古本屋に。出発はご自身の蔵書からです。店舗を開いたのは6月ですが、2月末ころから事務所を準備し始め、古書組合には3月に加入しました。品揃えを充実させるため、毎日交替で市場へ通います。それなりのレベルの書籍を揃えるには市場は欠かせません。南部や西部の市にももちろんこまめに足を運びます。欲しい本を市場で競り落とせるかどうか、毎日が受験結果発表待ちの気分だそうです。「かわほり」とは、こうもりの古語。蝙蝠と書き、福を返すということで縁起がよいとされることから、店名になさったとか。そういえば、目録の表紙にも蝙蝠が飛んでいました。
- お店紹介、今後の抱負 靖国通りから錦華通りに入り、とかち書房、池宮書店を過ぎ、北神保町郵便局のところで右手の細い路地に入ると左手にSTビル。あれっ、どこかで聞いたような・・・と思ったあなたは、このコーナーの常連さん。そう、以前ご紹介したきゅうせいさんと、すからべさんが入っているビルです。この2店は同ビル1Fの左手、かわほり堂さんは突き当たりになります。8坪の奥半分は倉庫、手前半分がお店なのですが、まず入ると正面に、荷風、谷崎、漱石などの初版本を含む単行本がズラリ。グラシンをかけて大変きれいに並べられています。右手には、1000円から2000円程度の署名本コーナー。ここは開店当初は300円均一コーナーだったそうで、近々また入れ替えて新しいコーナーを作るとか。お客さまに常に新しい棚を見ていただくための工夫です。左手にあるガラスケースの中には、石川啄木「一握の砂」、内田百間「冥途」、夢二装の本などが鎮座ましましていました。鏡花、荷風、谷崎を三本柱に文学書の充実をはかり、将来は好きな和本にも力を入れたいとのこと。スペースは決して大きくはありませんが、気軽に手に取れる本から、あこがれの書物までが並ぶ素敵なお店です。同じビルに文学書を扱うお店が3店入っているのも魅力。3店で「神田古本横丁」の看板を掲げ、いずれは合同目録など協同でのイベントも検討中だそうです。今秋の青空古本まつりにも、三省堂会場と靖国通りのワゴンで参加なさると伺いました。まずは1度お店に足を運んで見てください。(K)
★KEIZO 〒101-0052 千代田区神田小川町3-16
- TEL&FAX 03-3291-7170
- 開店 2004年7月20日
- 営業時間 10時半~7時
- 定休日 日曜日
- 取り扱い 美術書中心のビジュアル本専門
- 目録・HP・即売展 冊子目録と即売展参加は予定なし(青空古本まつりの目録「古本」には参加)、9月初めにはHPを立ち上げる予定。http://www.keizobooks.com/
- 開店まで 店名は店主のお名前から。靖国通りの松村書店さんのご親戚で、中学生の頃からお手伝いを始めていらしたそうで、青空古本まつりの経験は既に40年、青展にはなくてはならない存在。店員さんとして洋書会はじめ市場通いも長い大ベテランです。独立ということで、今年の初めに現在の場所を契約、当初春ごろからの予定だったのが延びて7月開店となりました。
- お店紹介 靖国通りの三省堂支店=自由時間の角から猿楽町の通りに入り、少し行って右折。右手にまず長島書店さん、その斜め前、左手にKEIZOさんがあります。お茶の水方向からですと、駿河台下へ向かって坂を下る途中、明治大学を過ぎたらすぐに右折するとよいでしょう。ガラス張りの扉の向こうは、ダークブラウンを基調としたシックな空間。入って右手のテーブルには、バンビやババールなど可愛い絵本(洋書)が並び、左側の壁面は奥までずっとビジュアルな洋書が並んだ棚になっています。中ほどの右手が帳場。でも帳場という言葉は似つかわしくありません。カフェのカウンターのようで、お友達の手作りと言う革の小物が使われていました。奥は、広い縁側風とでもいいましょうか、和風の香りのする空間です。床には板が敷かれ石があしらわれ、お客様が「ここ(板の間)に上がっていいんですか?」と聞いていましたが、ホントそのくらい素敵な雰囲気です。上がってみると、大きなクリムトの複製画6枚セット¥25000などがゆったり並んでいます。実は姪御さんが内装のプロで全部お任せした結果、ちょっと古本屋さんらしくないおしゃれなお店が出来あがったということでした。ご主人でさえ、出来あがった時に、板の間に上がっていいか聞いたそうですから!!内装工事中には、店の前を通りかかった方に「お酒が飲めるんですか?」と尋ねられたとか(笑)。また、デザインを学んだ娘さんが、案内やチラシを作ったり、シャッターを描いたりと活躍、今はHPを作成中です。
- 今後の抱負 開店から1ヶ月、手応えは「ボチボチ」とか。松村書店時代、徐々に上がってしまったお客の年齢層を少し下げようと、「親しみやすくどなたでも入れるお店」にと若い方向けへのPRを意識されています。今は殆ど洋書ですが、ビジュアルな和書にも力を入れ、「美術」「写真集」については和・洋ともに揃えて充実させて行きたいとのこと。決して敷居は高くありません、驕りもありません、と仰るご主人。確かに、手軽な絵本などは¥200、¥300といったシールが付いていますから安心して手にとって見られます。是非1度のぞいて見てください。(K)
★ボヘミアンズ・ギルド(BOHEMIAN'S GUILD BY NATSUME-BOOKS)
〒101-0052 千代田区神田小川町3-26 内田ビル1F
- TEL&FAX 03-3294-3300
- 開店 2004年6月14日
- 営業時間 10時半~7時
- 定休日 無休
- 取り扱い 美術、自筆物、署名本、限定本、版画など
- 目録・HP・即売展 年に1回くらい不定期に発行していた冊子目録を、新入荷目録として3ヶ月に1度くらいのスパンで発行してゆきたいとのこと。HPにも力を入れているそうですのでこちらも要チェック。http://www.natsume-books.com 即売展は古書会館での、お馴染み、ぐろりや会に参加しています。
- 店名の由来 自由や平和を求めて慣習にとらわれずに生きた国内外の文学者や芸術家「ボヘミアン」たちの世界を追求してゆきたいという思いが、自分の中での主流であるので。(BY NATSUME-BOOKSを付けたのは、ご両親への配慮だそうです)
- 開店まで 場所は古書会館のすぐ近く。白水社のビルとかげろう文庫さんのあいだにあります。もとシド&ナンシーさんだった場所(同書店は、現在移転途中)。本店である池袋のお店と、阿佐ヶ谷・パールセンター街にあるブックギルド2に加えて、ボヘミアンズ・ギルドは3軒目のお店です。本当に本が好きなお客様のために、厳選されたショールーム的なお店をつくろうと決意して、2ヶ月。明治古典会の七夕市を控え、超多忙な中で、開店まで突っ走ったという状況だったようです。6月1日から工事をはじめて2週間で開店というスピードには驚くばかりですが、採寸したり、ライトの配置を考えたりといった内装の設計もすべてご自身でなさったそうで、これまたびっくり。お店の中は、フロアも書棚もテーブルもダークブラウンで統一されたシックな空間が広がっています。15坪の店内の半分ほどを占める美術や文学関連の書籍の8割は、開店のために準備された新しい商品とのこと。真中にはくつろぎのソファと、テーブル&椅子が置かれ、ゆったり本を選ぶことができます(私はここで、アイスコーヒーをご馳走になりつつ、ゆっくりと取材させていただきました)。Gケースには草稿・書簡類や署名本などが美しく並んでいます。このGケースも、本の側は、お客様が手に取りやすいように開いているという特注品。そして奥の壁面には、おそらく日本一の点数でしょうと自負する夢二ものが、目を楽しませてくれます。本好きにはたまらない魅力溢れるお店なのです。
- 今後の抱負 これまで倉庫に眠っていてなかなか見てもらう機会のなかった逸品たちを、本好きのお客様に見ていただきたい、お茶やお酒でも飲みながら、ゆったり座って楽しんでいただきたいと、ショールームでもありサロンでもあるお店を目指します。これまでの神田にはない新しいタイプのお店の登場です!!古書会館からもすぐ近く。マニア必見!!勿論、初心者の方も、キレイで高級感溢れる店内に怖気づくことはありません。初心者でも買いやすい「ハリー・ポッター」のような書物もちゃんと並んでいますから、是非、雰囲気を味わって見てください。(K)
★たにぐち書店 〒101-0051 千代田区神田神保町2-3 神田古書センター5F
- TEL 03-3511-8045 FAX 03-3511-8047
- 開店 2003年3月
- 営業時間 10時~6時半、日曜・祝日11時~5時半
- 定休日 第3日曜日 (8月のみ毎日曜日)
- 取扱 東洋医学、精神世界関連の新刊・古書、雑貨
- URL http://www11.plala.or.jp/kunpoo-hananodou
- お店案内 神保町の交差点から靖国神社方向へ向かってすぐの左手に、神田古書センタービルがあります。(神保町初心者の方のために説明しておきますが、「神田の古本屋街」とはいっても、JRの神田駅からは遠すぎます。地下鉄の神保町駅を利用するのがベストです。)1Fから8Fまで、各階に特色ある古書店が入っていますが、その5F、子どもの本専門・みわ書房さんの隣にたにぐち書店さんが昨年リニューアルオープンしました。もともとは池袋北口にあり、「月刊手技療法」なども発行している東洋医学の専門店です。古書センター内の高山本店さんや、いざわ書林さんなどともお付き合いが深く、このビルに神田店を出店することになりました。
- エレベーターを5Fで降りると、左手がお馴染みのみわ書房さん、右手がたにぐち書店さん。一言で言えば、神保町の古本屋さんらしくないお店。「精神世界」を謳うだけあって、独特の雰囲気を醸し出す部屋が作られています。蛍光灯に手作りの和紙のカバーがかけられ、エキゾチックなカーテン(?)が天井や壁を蓋います。入口近くのガラスケースには、ボヘミアンガラスの香水瓶や鏡、水晶や石などがきらめき、東洋医学関連の棚のそばには、なんと背骨の模型(もちろん売り物。確か3万円弱くらい)が掛かっていてびっくり。年に数回、世界各国に買い付けに行くという可愛らしい雑貨の類が、本棚のあちらこちらに並べられ、アクセントになっています。ランプあり、バッグあり、木彫りの置物あり、お香あり、キャンドルあり、タロットカードあり・・・。雑貨は小さなオーナメントが200~300円くらいから。お客様は、専門書を求める医学生や鍼灸の先生から、みわ書房さんからハシゴする若い女性までかなり幅広いようです。魔法の本と水晶を合わせて買っていくといった、書籍と雑貨を共に求めるお客様が結構いるのも特徴のひとつでしょうか。初夏に向け、入口付近の平台には、水や魚、人魚などにかかわる本が並べられ涼しげでした。そんな季節感溢れるディスプレイは、他の古本屋さんでも参考になるのではないでしょうか。現在は棚の書籍はまだ新刊がほとんどですが、この度、古書組合にも加入、これから古書にも力を入れていくそうです。客数も売上も伸びていて、景気の回復が感じられるとのこと。古書市場デビューが楽しみだと店長さんが目を輝かせていました。是非1度訪ねて見てください。(K)
★三楽書房 〒169-0051 新宿区西早稲田3-21-2
- TEL 03-3203-8995 FAX 03-3203-9321
- 開店 2003年4月16日
- 営業時間 10時~8時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱 文学・思想・美術・初版本・限定本
- 目録・HP・即売展 一切なし、店売りひとすじです!
- 修行歴・開店まで 店主は同じ早稲田の安藤書店の次男、まだ27歳という若さ!1度サラリーマンとして社会を見た後、神保町の田村書店で3年間修業、しばらく閉まっていた親戚の三楽書房を再開させました。田村書店さんは、礼儀に厳しく、きちんと筋を通される方。言葉遣いや本の扱いを知らないと、お客さんでも叱られます。そんな田村さんにしっかり叱ってもらえたことは、(恐かったけれど)大変有難いことだったと仰います。田村書店の倉庫整理で5万冊の本に触れ、店頭の均一台で「本が飛ぶように売れる」感じを掴んだことは、大きな収穫でした。三楽書房さんのお名前は、もともとのご主人が、お茶の水の三楽病院で命を救ってもらったことに由来するそうです。早稲田の浅川書店、三幸書房、安藤書店さんは、皆さんもとの三楽書房さんから独立された方々。その安藤さんの息子さんによって、再び三楽書房の扉が開かれたことは、業界にとってもお客さまにとっても、この上なく嬉しいことに違いありません。
- お店紹介・今後の抱負 高田馬場駅から早稲田方向へ進み、明治通りを渡った少し先の左側、平野書店の次に現れるのが三楽書房さんです。棚には文学・思想・美術関係の単行本、文庫がきれいに並んでいます。文庫は少し古めの岩波、角川、春陽堂など。できればもともとの形で読んで欲しいと初版本にも力を入れ、帯やカバーが痛まないように丁寧にセロファンでくるんであります。本は床に積まずに本棚だけ、通路を通りやすく見やすくとの配慮です。入口右手の美術の図録なども大事にしようと、奥行きのある本棚を注文、近々部分改装の予定。初心者からマニアまで誰が入っても楽しい本屋が目標で、田村書店の均一台のように「毎日が古本まつり」の感覚で、価格を抑えて掘り出し物を作るよう心掛けているとのこと。目録や即売展に頼らず、いい本をお店に置いて、とにかくお客さまに店に足を運んでもらおうと、前向きなパワーが伝わってきます。いいものを安く置けば必ずお客は来る・・・言うは易く行うは難し。ですが、昨春以来の売上の数字は、この言葉が実践されたことを裏付けています。分からないことを分からないと素直にお客に聞けるのは若者の特権と、お店に座って積極的にお客さまから情報収集をする27歳。早稲田では、古書現世さんが発行するメルマガ「早稲田古本村通信」が1周年を迎えますし、昨年秋から青空展も若手にバトンタッチしました。歴史を踏まえつつ、これからの早稲田を担ってゆく期待の一人であることは間違いないでしょう。ぜひ1度お店を訪ねてみてください。(K)
★澤口書店 〒101-0052 千代田区神田小川町1-6-21
- TEL&FAX 03-3252-2332
- 開店 2003年8月22日
- 営業時間 10時~22時 日曜・祝日は10時~21時
- 定休日 無休(年末年始を除く)
- 取扱 1F マンガ・文庫・単行本・女性本 2F 映画・音楽・美術・歴史・写真集 3F アダルト
- HP・即売展 HPは表紙だけ、お店を訪ねる際の参考に。即売展は五反田遊古会、新橋駅前展に参加。
- 修業歴、神田進出まで 南部の遠藤書店(おじさんにあたる)で3年ほどアルバイトを経験後、3年前に武蔵小山に店を持ち、昨年夏に神田にも出店しました。しかし神田だから店売りに力を入れなくてはといった気負いはなく、これまでやってきた即売展同様、催事がひとつ増えたようなものでしかないそうです。2店舗の使い分けも意識せず、カラーは一緒。武蔵小山のお店はアーケード商店街のはずれで散歩の女性客が多く、神田は6割がサラリーマン、3割女性、1割が子供(夜遅く塾帰りの小学生も多いとか)といった、客層の違いはありますが、神田店のために特に仕入れを強化したりということはありません。市場でも珍しいものやいいものをリスクを負って仕入れるのではなく、他店が買わないようないわば雑本の類に熱心に札を入れます。古本を生鮮食料品と同様に扱い、店の棚の面で見せる部分は、毎週総入れ替えをします。疲れる事は嫌いだと仰りつつ、手間を惜しんではいません。店に1日座っていたことはなく、レジも触りません。店員を信頼して値付けも計算も任せ、自身は殆ど店にいずに飛び回っているそうです。
- お店紹介、今後の抱負 お店は、靖国通り沿い、小川町交差点を神田方向へ少し行った左側にあります。地下鉄新宿線小川町駅または丸の内線淡路町駅の近く。通りの反対側には新刊の神谷書店、そして昨年秋まではブックマーケットという大きな新古書店がありました。閉店したブックマーケットのお客さんも、澤口書店さんへ足を向けているのではないでしょうか。1Fの文庫や単行本は比較的新しくてキレイなもので、値付けも丁寧です。目に付く場所に、「ロード・オブ・ザ・リング」のジグソー本や「エースをねらえ!」の解説書があったりと、話題のものを見せる工夫もされています。奥には岩波の本、踊り場風の2Fには、映画や美術、歴史関連の硬めの書籍なども置いてありました。(3Fアダルトコーナーへの暖簾をくぐる勇気は持ち合わせていませんでしたので、こちらはご自身でお確かめ下さい。)店頭の100円、150円均一のマンガや週刊誌が売れているようですが、そんな風景はこれまでの神田の古本屋のイメージとはかなり違います。神田のプライドがないから・・・と仰いますが、そこには、だからこそ今までにはない手法も考えられるのだというプライドも見え隠れしているように感じました。業界外の方々から積極的に情報収集し、古書業界の常識を打ち破る手法を考えているとのこと。形に囚われない、商売として割りきった態度を見ていると、対象が古本でなくてもよいのでは?とさえ思えますが、お世話になっている文生堂書店に学ぶところも大きく、やはり古本にこだわりはあるようで・・・。今後の抱負を尋ねると、「30歳でほのぼのしたいですね」との答えが返ってきました。店主27歳。今後の動きに目が離せません。(K)
★古書山猫屋 〒101-0051 千代田区神田神保町1-20-3→移転
- TEL&FAX 03-3292-7471
- 開店 2003年6月23日
- 営業時間 14時~18時
- 定休日 日曜日
- 取扱 随筆・明治文献はじめ、近代文学、和歌・俳諧、和本・漢籍、書・法帖、絵画、東京文献・モダニズム関連など
- 目録・HP 1984年目録販売専門の古書山猫屋を開いたときから、冊子目録を出しつづけて20年。現在も、この目録が主体で、B6判30ページ400~500点掲載のものを毎月発行している(3回分切手1000円)。昨年の2月からHPも開設、在庫目録を掲載し、毎週金曜日に更新をしている(http://www.koshonet.com)。
- 屋号の由来、開店まで 聞けば高校時代、母親に付けられたあだ名が山猫だったとか。札幌出身のご主人は、高校時代から近代文学や仏文の本を売ったり買ったりして小遣いを捻出していました。弘南堂書店・南陽堂書店・サッポロ堂書店さんあたりにもちょくちょく足を運んだそうです。今とは違って硬い文学書や学術書がしっかり価値あるものだった時代の話です。7年ほどのサラリーマン生活に見切りをつけて、趣味であった古書の世界へ入ることに。20年来ずっと目録販売専門でしたが、昨年、埋れ木さんがお店を閉じられ、その後に店を構えることになりました。もっとも「神保町」という立地で顧客が増えればいいなという程度で、店売りにウエイトを移したわけではありません。あくまでも手段としては冊子目録に重心を置いていますとのお話でした。
- お店紹介、今後の抱負 神保町交差点から靖国通りを駿河台下方向へ、東陽堂さん向かいのスターバックスコーヒー店の手前を左へ入ります。パチンコ人生劇場や食べ物屋さんが並ぶ路地を通りぬけた左側に、古書山猫屋さんがあります。以前は埋れ木さんだった場所で、お店の作りはそのまま、ガラス張りの瀟洒な作りはギャラリーにもなりそう。しかし、中に入ると、棚に並んでいる本は、けっして美しい書物ばかりではありません。明治文献や随筆などを中心に文学、和本、絵画など幅広く集められた本たちを見極める目を持っていなくては買えるものはないかも。「書斎生活の達人のみが利用可能なお店」ともいえそうです。それにしても、店売りに期待しないのならなぜ神保町に???ご主人は、近くの古書店とタイアップして、それぞれ異なった素材を共通の企画で見せるという新しい売り方を探っているのだそうです。古書愛好家も美術愛好家も集って楽しめるように、まずは今春、「金子国義」を素材とした企画を、美術倶楽部ひぐらしさんらと共に立ち上げます。将来は喫茶店などの異業種とも手を結び、また地域を越えて広くタイアップすることも考えていらっしゃるとか。一方では古書組合に加入してネット販売の強化も目指します。本を読むのも、絵を見るのも、自分のものとして日常で読み、鑑賞してはじめて自分自身の糧となるというのがご主人の持論。江戸小紋の包装紙も企画中ということで、ご主人のこだわりが表れたものが出来あがることを期待しましょう。・・・因みに奥様は加福多恵さんと仰る画家。「麻渓鳥譜」「鳥聲集」という2冊の画集を出されています。お店にも可愛らしい鳥の絵が飾ってありました。・・・是非1度足を運んで見てください。(K)
★かんけ書房 〒101-0051 千代田区神田神保町1-19→廃業
- TEL&FAX 03-3292-0128
- 開店 2003年8月27日
- 営業時間 12時~7時
- 定休日 日曜日
- 取扱 絶版漫画、雑誌、附録、復刻本
- 目録・HP・即売展 開店後すぐにHPを開設。http://homepage2.nifty.com/kanke/ 冊子目録は、漫画合同目録「リメンバー」2号に初参加(12月発行予定)。将来的には自家目録を発行して行きたいとのこと。
- 修業歴、開店まで 神保町通いは長いのですが、古本屋の修業歴はゼロ。中野書店や長島書店さんなどのお客さんだったそうで、ご自身の趣味が嵩じて脱サラして古本屋さんに。お住まいの近くと比べて家賃もそう変わらなくなってきているし、夢を実現するならやはり神保町で、ということでこの場所に開店することになりました。9月には古書組合にも加入し、市場に通って現在修業中です。
- お店紹介、今後の抱負 すずらん通りを駿河台下から神保町方向へ向かい、東京堂書店の手前で左折、最初の路地を左に入るとすぐのところにお店があります。(路地に入らず進むと翠光堂書店さんがあります) こじんまりとしたお店ですが、ご主人が本当に好きで集められたという本ばかりが丁寧に並べられています。ちょっと古めの漫画や少年雑誌、附録、復刻本の他、SFや推理、映画関係の文庫などもあり、昭和40年代~50年代に子供時代を過ごした身には、懐かしさに思わず手にとってしまう本がいっぱい。お客様も当然そのくらいのおじさん・おばさん年代かと思ったら、意外に20代くらいの方も多いのだとか。昔懐かしい怪奇物などは、若い方にも人気なのだそうです。取材にお邪魔したときにも学生さんらしき若者が探し物としていて、ご主人が丁寧に質問に応えていました。開店からほぼ3ヶ月、青空古本祭りでどっと人が来て、沢山売れたはいいが、補充が追いつかない状況だと仰います。もともとご自身が好きで集めた本を売るわけで、売れるのは嬉しいけれど淋しさや悲しみも伴い、まだまだ愛着が残っているご様子。とりわけ昭和40年代の「少年ブック」「ぼくら」「冒険王」などに思い入れが深いようで・・・。そんな気持ちを振り切るためにも、新しく良いものを仕入れて、自分でも楽しみつつ、本当に欲しいお客様にお届けして行きたいとのこと。確かに、中野書店、長島書店、翠光堂書店・・・市場で欲しい本があってもライバルがいっぱいですね。でもライバルは一方、仲間でもあります。中野さんが案内を置いてくれたり、くだん書房さんが早速リンクを張ってくれたり、助けてもくれています。少しずつ勉強しながら地道に気長に、趣味を継続しながら頑張って行きたいと仰る菅家さんでした。是非1度足を運んで見てください。(K)
★シド・アンド・ナンシー 〒101-0052 千代田区神田小川町3-26 内田ビル1F →移転
- TEL&FAX 03-3294-3227
- 開店 2003年10月3日
- 営業時間 11時~7時or8時頃
- 定休日 日曜日 (しばらくの間は無休で頑張ります)
- 取扱 アイドル・アダルト・ダンス関係
- 目録・HP・即売展 まだパソコンもないのですがと、(帳場の横の空間を指差して)ここに入れるつもりで、早速設置して今年中にはHPを立ち上げます。目録・即売展はまだ予定なしとのこと。青空展には参加できませんが、古本まつり神田古書店地図帖にはギリギリ間に合って店名がちゃんと掲載されています。
- 取扱 アイドル・アダルト・ダンス関係
- 屋号の由来・修業歴 シド&ナンシーと聞いただけでぴんとくる方もいらっしゃるのでしょうが、私のように知らない人のために説明しますと、ロックバンド、セックスピストルズのベーシストとその彼女の名前なのだそうです。とにかくインパクトのある名前ということで付けましたとのこと。もともとは美容師さんからの転身。10年ほど前、まだ神保町にサブカルを扱うお店があまりなかったころ、ブックパワーRBさんがさくら通りにお店を開きました。その開店時のメンバーの1人。インディーズのバンドを組んでいるようなラフな中にも温かみのある環境で修業できましたと仰います。RBさんでアイドル&アダルトコーナーを任されて3年、中央市会の経営員としても頑張り、それから北部の佐藤書店さんで7~8年間修業を積みました。郊外で一般書を扱うか、神保町で専門化するかするか考えたとき、ご自身のいささかマニアックな体質から後者の道を選ぶことに。
- お店紹介、今後の抱負 お店は、東京古書会館の先、小川町郵便局を左に折れたすぐ右手にあります。前回ご紹介した、かげろう文庫さんより少し手前で、古書会館に出入りする業者のための自転車置き場の前。同業者の方々が昼食や喫茶店に向かうルートに当たり、しょっちゅうお店を覗いては励ましの言葉をかけてくれるそうで・・・。中には「喫茶店にした方が儲かるよ」などという励まし(?)もあるくらい。ちょうど伺った時に、虔十書林さんが「大安吉日ですね~」とお祝い持参で登場。「楽しそうな本屋でいいな~」と店内をぐるっと回り、「これ安いね」などとコメントしつつ親切にいろいろ教えてあげていました。取扱に「アダルト」と掲げてあり、(こちらもそれなりに年輪を重ねた身とはいっても)紹介しづらいと困るなとちょっぴり不安だったのですが、実際お店に入って見ると女性でも全然平気。奥の方にはAVやSMの棚もありますが、店主が目指すのは、最近の過激な路線ではなく「ちょっと旧めの、ほっとする感じの官能的な世界」なのです。各種雑誌のバックナンバーなども「肉体の美」に通ずる特集号に力を入れて集められています。女性には「anan」創刊号から50号までのバックナンバーがお勧め。背に補修テープがあるため値段が抑えられていて買いやすいでしょう。肉体の美やエロスに通ずる、ダンス関係書も棚の一角を占めます。まだ本の量は少ないのですが、ヒップホップやストリート系ダンスから、クラシックバレエ入門もされたという店主の思い入れが反映されるコーナーになるはず。ネットオークションなどの盛況で、ライバルが同業者だけではない辛さもありますが、近い市場を最大限に利用して在庫を充実させ、〈ほんわかエロス〉の追求をしてゆきたいとのこと。ぜひ1度お店を覗いて見てください。(K)
★かげろう文庫 〒101-0052 千代田区神田小川町3-26-3 坂本ビル1F
- TEL&FAX 03-3291-5001
- 開店 2003年9月2日
- 営業時間 11時~9時 土曜・祝日は8時まで
- 定休日 日曜日
- 取扱 デザイン・写真集・和洋の古い挿画本・美術全般
- 目録・HP・即売展など 独自のHPを9月末~10月初めくらいに開設予定、冊子目録は良いものをじっくり集めてから発行する(青空展の目録には参加)。10月20日~22日、新古書会館の地下で開かれる「地下室の古書展」に初参加。
- 屋号の由来、修業歴 「かげろう」は、虫のカゲロウでもあり陽炎でもありますが、どちらもはかないものであり消えてしまうものです。高価でなくても消えていってしまうような書物にスポットをあてたいとの思いから名づけました。和洋美術書を扱って定評のある源喜堂書店で、バイト時代も含め10年修業。英語・仏語を読む上に、ロシア語などの本も見れば”わかる”ようにはなってきました。文車の会で勉強されたご主人から、直々に古文書の読み方の指導も受けました。
- お店紹介、今後の抱負 新築なった東京古書会館の隣は小川町郵便局、その先の道を左に折れ少し行った右手にかげろう文庫さんがあります(白水社の並び)。もともと男性カジュアルウェアのお店だったところが、ログハウス調の内装をそのまま活かしてちょっとお洒落な古本屋さんに生まれ変わりました。数百円の絵本から、美しい洋書や江戸期の和本まで、和洋を問わず広い範囲の美術関係本が並んでいます。共通するのは「絵が入っていて楽しめる」こと。ちょっとユニークな古い挿画本を多く揃えてゆきたいとのことで、特に、見て楽しめる古文書・古版本に力を入れたいそうです。手許にあった和本を見せていただいたのですが、ひとつには海坊主の絵が、ひとつにはマンボウの絵が描かれていました。なるほど、こういうものなら素人目にも(文字は読めなくても)充分面白いでしょう。お店に伺ったのは開店から2週間後。手応えは思ったよりいいそうです。「こんなに古書会館が近くて、同業者の目に晒されるところ、怖くはないですか?」と伺ったら、「いや、立ち寄っていただけるから嬉しいですよ。開店サービスで安く値をつけたものは、結構同業者に抜かれましたけど、逆にいえば、自分の店に置きたい本を抜いたということですから、それは誇りでもあります。」との答えが返ってきました。確かにそうですね。古書会館がすぐそばで、毎日市場へ通うにもとても便利。仕入れに気をつけ常に新しい在庫を入れて、お客様に次に来た時にまた楽しんでいただけるセレクトショップを目指すと仰います。なかなか骨のあるご主人とお見受けしました。お店の方はまだ統一できていないのですがと謙遜なさいますが、しっかり目指す雰囲気は味わえます。また、10月下旬に古書会館で開かれる「地下室の古書展」に参加されますが、これは、ブックカフェを併設したり、映画の上映を行ったりもする新しい試み。中野書店、河野書店、秦川堂書店、西秋書店、山田書店、文生堂書店の6店と共に「見せる古書展」を作るそうで、こちらも楽しみです。古書会館にいらしたら、ちょっとだけ足を伸ばして是非訪ねてみてください。(K)
★古書すからべ 〒101-0064 千代田区猿楽町1-4-4 STビル1F
- TEL 03-3233-8838
- FAX 03-3233-8847
- 開店 2003年9月1日
- 営業時間 10時~6時 来店の際はTEL確認をお願いします
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱 文学・美術・洋書を中心に 版画も扱う予定
- 目録・HP・即売展 9月末には冊子目録第1号を発行、その後も定期的な刊行を目指す。独自のHPを開設するには時間がかかりそうだが、古書組合に加入して、年内には「日本の古本屋」においてネット販売を始める予定。組合加入後は即売展にも参加して行きたいとのこと。
- 屋号の由来、修業歴 子供の頃から甲虫が好きだったので。「ファーブル昆虫記」を初めて読んだときには衝撃を受けたそうです(そういえば第1巻は「スカラベ」でしたね)。編集プロダクションからの脱サラで、修業歴はゼロと仰いますが、当然のことながら本屋&古本屋通い歴は長く、木造の三省堂書店時代もご存知だとか。中学の頃は書泉グランデのしおりを集めたりと新刊書店中心でしたが、高校生になって古本屋には新刊書店にないものがある!と気づき、田村書店さんを皮きりに神保町、早稲田、中央線と古本屋を巡り歩くようになります。仏文はじめ外国文学で友人が読んでいないような本を探して喜んでいましたとのこと。因みに田村さんで最初に買った本は鈴木信太郎「フランス象徴派詩風」。
- お店紹介・今後の抱負 靖国通りから錦華通りに入り、とかち書房、池宮書店を過ぎて北神保町郵便局の前を右折、路地に入ると左手にSTビル。と、ここまではきゅうせいさんと一緒。1Fの窓から見えるのがきゅうせいさん、その奥が古書すからべさんになります。お店に伺ったのは8月15日。半月後の開店に向けて一生懸命に本を整理中のところにお邪魔しました。両脇の棚には文学や美術書が入り、床には山のような図録。これを片付けて真中にも棚が入るのだそうです。机の上にはアクリルに閉じ込められた大きな虫が・・・「スカラベの一種、ダイコクコガネの仲間です」と教えていただきました。田舎で見たカブトムシの雌くらいあり、スカラベってこんなに大きいものだったのかとびっくり。「スカラベは日本にはいませんから」と言われて改めて認識し直しました(どうも私は「ファーブル昆虫記」を読みなおす必要がありそうです・・・)。今後は、新古和洋を問わず面白そうな本を並べて、お客様に楽しんでいただけるお店にしたいとのこと。お金を得る手段は目録でありネットであるかもしれないが、ともかく店売りにこだわってゆきたい。売る人と買う人が向かい合って話をすることが大事だと思うので、倉庫然とした状態でも、お店の形は取り続けたい・・・と、古本屋巡りを至上の楽しみとする方々には嬉しい限りの言葉です。ゆくゆくは好きな昆虫コーナーを設けられればと話す瞳は静かに輝いていました。9月1日の開店が待ち遠しいお店です。(K)
★玉睛(きゅうせい) 〒101-0064 千代田区猿楽町1-4-4 STビル101
本当は「玉」ではなく、点が上の方に付く「きゅう」(玉を磨く人の意味)の字なのですが、漢字を表記できないのでご了承下さい。
- TEL&FAX 03-3233-8847
- 開店 2003年7月14日
- 営業時間 12時~6時 (TEL確認後にお訪ね下さい)
- 定休日 今のところは不定休 (TEL確認後にお訪ね下さい)
- 取扱 近代文学・美術・趣味の本を広く浅く(?)扱う
- 目録・HP・即売展 冊子目録発行およびHP開設を検討中。「古書通信」本年3月、7月号に目録を掲載。7月17日~30日、渋谷パルコのロゴスギャラリーにて開かれる「ウルトラモダン」展が即売展初参加!1920~1930年代のヴィジュアル古書やポスター、絵葉書などの展示即売会で、日月堂さん、港やさんもメンバーです。
- 屋号の由来、修業歴 「きゅう」は玉を磨く人、「睛」はひとみ。ひとみを磨いていいものを見つけようと、自分に課した言葉とのこと。これまで、服飾品店・設計事務所・書店・ギャラリー・工芸作家兼講師・役所勤めなどなど実に多くの仕事を経験しました。15年ほど前、川崎の古書店でアルバイト、その後趣味で古書収集をはじめ、ここに至ったそうです。
- 店舗紹介、今後の抱負 靖国通りから錦華通りに入り、道の左側を歩いて行きます。とかち書房、池宮書店さんを過ぎて、北神保町郵便局の前まできたら道を渡り右側の路地に入ります。すぐ左手のSTビル1Fに「きゅうせい」さんがあります。手前のドアを開けると10坪ほどの部屋が本棚で二つに区切ってあるのが判ります。実は部屋の右半分は近々開店する「古書すからべ」さん。もともとは先日閉店した「埋れ木」さんの倉庫だった場所で、「埋れ木」さんの店長だった「すからべ」さんの手配で、お二人が共同で部屋を借りられたとか。「きゅうせい」さんのお店は、スチールの本棚あり、ダンボール箱あり、縦にも横にも置ける木製の特注本箱ありで、まさにご自身の蔵書から始められた開店翌日のお店という風景そのものです。真中の文庫が詰まった木製テーブルは「埋れ木」さんにあったライトテーブルを改造したもの。棚に並ぶ本は文学、美術、趣味関連の玉石混交ですが、まだご自宅から運びきっていないそうです。ご自身が集められた愛着のある本たちも徐々に登場してきますので乞うご期待。装丁にこだわって集められた本を、実物を見て買ってください。奥のガラスケースには趣味的な洋書も並んでいます。その横に素敵なガラス細工が・・・。なんとガラス工芸家でもあるご主人の作品なのでした。(開店ほやほや、即売展搬入の準備でもお忙しいのに、時間を割いて頂いた上、美しい水差しをお土産に頂いてしまいました!)広く浅く、そして人ひとり食べて行ければ、と謙遜しつつ、仕入れを強化するため組合へ加入するつもりだとも仰います。小村雪岱ファンでもあり、またアンティークにも造詣が深いようで、興味あるものなら本に限らず扱いたいとも。「平日は古書店主、週末はガラス工芸家として両立できればいいですね」と優しい笑顔で語るご主人。これからがとても楽しみなお店です。是非1度訪ねて見てください。因みにお隣の「すからべ」さんは、次回にご紹介する予定です。(K)
★東京古書会館 〒101-0052 千代田区神田小川町3-22
- TEL 03-3293-0161
- FAX 03-3291-5353
- 地上8階地下1階
- 地下1階 多目的スペース=即売展会場、講演会他各種イベント会場
- 1階 エントランスホール
- 2階 情報コーナー
- 3階~8階 市場、事務局、会議室、資料室他古書組合員のためのスペース
- 竣工記念「古本拡張計画」イベント
- 「古本カタログ」 (晶文社) 1890円 東京古書組合が発行する、古本ビジュアルブック。6月25、26日頃には店頭に並ぶ予定です。16人の著名人によるエッセイも充実。
- 地下1階多目的室にて展示イベント
- 7月6日~12日 「過去からの本、未来への本」・・・「古本カタログ」に登場する50組100冊の本を、古いものと新しいものを対にして展示します。例えばファンタジーの雄「桃太郎絵詞」と「ハリー・ポッター」、世界最古の印刷物「百万塔陀羅尼」と最新の書物「CD-ROMブック」といった具合。時空を超えた本の旅をご覧下さい。
- 7月13日~19日 「乱歩が集めた書物展―江戸川乱歩蔵書より」・・・乱歩邸の土蔵、幻影城のコレクションのうち、「近代」に焦点をあて、「乱歩と明治文献」(明治初中期の翻訳小説中心のコレクション)、「乱歩と周辺の作家たち」(自作と昭和前期の探偵小説)に分類、珍しい書籍180点を、立教大学の協力を得て展示します。
- 2階市場スペースにてライブイベント
- 7月6日 16時~ ホワイトマン・ショー「古本ラヂオ」・・・本に関するラジオDJ風トークとパフォーマンス
- 7月8日 18時~ 「本屋さんのつくり方」・・・永江朗氏プロデュースのトークライブ
- 7月11日 10時~ 「詠み芝居」・・・壌晴彦主催・演劇倶楽部「座」による「怪人二十面相」
- 7月12日 13時~ 「コージズキン’s Tシャツ工房」・・・スズキコージ氏とTシャツに絵を描く 15時~ 「コージズキン’s トークショウ」 スズキコージ氏によるトークライブ
- 旧古書会館では、古書業者以外の方の立ち入りはかなり制限されていました。組合に加入している古本屋さんの市場であり、入り口で「一般の方はお入りになれません」と断られた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。新しい古書会館は、従来とは異なり、一般のお客様にも開放されたスペースが設けられます。上記の竣工記念イベントのほかにも、定常的に、2階には、古書検索や古書店検索が自由に行えるコンピュータ端末が設置されます。古書目録や即売展情報も提供され、古書に関する情報発信の場となるはず。利用できる曜日や時間などはまだ確定してはいないそうですが、古本がまた一歩身近なものになることでしょう。7月18日・19日には明治古典会大入札会の一般下見も行われます。是非キレイになった古書会館に足を運んで見てください。・・・因みに今度はテナントは入れませんので小社はこのまま(神保町1-7)です。(K)
★みずい版画 〒169-0051 新宿区西早稲田2-10-6
- TEL03-3203-3585 FAX03-3208-1044
- 開店 5年前の自宅建築時 HP開設は2002年12月
- 営業時間 予約のお客様のみご案内、必ず連絡後にお訪ね下さい
- 定休日 日曜・月曜・祝日
- 取扱 版画
- 目録・HPなど 年1回自家目録発行、HP開設 http://www.mizui-hanga.com/
- お店紹介 【一心堂書店&みずい版画】 一心堂さんが早稲田にお店を開いたのは昭和30年のこと。ずっと、早稲田の学生をはじめ、文学者や演劇人にも愛されてきましたが、最近開いていないことも多く、心配されていた方もいらしたのではないでしょうか。ご主人の水井辰雄さんはバイタリティ溢れる、梶山季之の小説にも描かれた方。占いに詳しいという特技もあり、芸者さんの手相をみてあげて古本屋仲間からうらやましがられたという話もあります。ちょっと無鉄砲なところもあるご主人をしっかり支えていらした奥様とお二人で頑張っていらっしゃいましたが、さすがにお二人とも高齢になり、毎日長時間店番をするのは厳しい状況になりました。一人娘のみつ子さんは、古本屋の跡を継ごうと、まだ古書業界に殆ど女性がいなかった頃から奮闘してきました。ご自身の好きな美術書に力を入れ多くの即売展をこなし・・・そこで海外へ目を向けたことがみつ子さんのターニングポイントとなりました。世界で通用する版画へと方向を定めたのです。現在ご自宅の2階に開いたみずい版画は予約の方のみのご案内。先日その素敵なお部屋でいろいろお話を伺ってきました。古書通信5月号には、みつ子さんによる「一心堂書店&みずい版画の歩み」が、語られています。是非ご一読下さい。追加のエピソードをひとつ。みつ子さんが初めて海外へ飛び立つとき、お父さんが倒れました。予定を変更しようかと悩むみつ子さんに、ベッドからお父さんは「行ってこい!」と。このときお父さんが背中を押してくれたからこそ、今のみつ子さんがあるのでしょう。昨年暮れに開設したというHPもとてもきれいです。どうぞご覧下さい。(K)
★池宮書店 〒101-0051 千代田区神田神保町1-24 加藤KKビル1F
- TEL&FAX 03-3292-7575
- 開店 2003年4月14日
- 営業時間 10時半~7時
- 定休日 日曜・祝日(当面は年中無休で営業)
- 取扱 農林業・地質学関係を主に、経済・地理ほか一般書
- 目録・HP・即売展 池袋サンシャイン・アルパ展、新橋古本まつり、新宿西口広場、浅草松屋など即売展に力を入れています。冊子目録はしばらく発行していませんが、これからHPを開いたり、ネット上に目録を載せたりしてゆきたいとのこと。
- 本郷から神保町へ 池宮書店さんは、現在のご主人のお父様の代からずっと、本郷の東大赤門前で親しまれてきたお店です。ここ20年ほどは、ご自宅の川口市でもお店を開き、本郷の店ははお母様が、川口のお店は奥様が店番をなさり、ご主人が即売展で活躍なさるというパターンでした。数年前にお母様が亡くなられて、本郷のお店はご主人の都合のつくときしか開けられず、淋しく思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回、家主さんの都合で、お店も倉庫もお引越し。本郷と川口のお店から神保町の地に移転の運びとなりました。
- お店紹介・今後の方針 靖国通りからマクドナルドの角を錦華通りに入ります。とかち書房さんの先を少し行くと、左手にあるきれいなガラス張りのお店が池宮書店さんです。小学生が歓声を上げていると思ったら、3冊100円の均一台の下には、大きな亀が4匹。お子さんが小さい頃に縁日で買ったものを10年以上育て続けてこんなに立派になったとか。さすが、亀まで年代ものなんですね。お店の中は、右側が文庫と一般書。左側には法律・経済、そして奥には農業関係書や地質、地理などの専門書がぎっしり並んでいます。サンシャイン・アルパの即売展(4月18日~6月15日、なんと2ヶ月弱の長丁場)の搬入でお忙しいご主人にはお会いできませんでしたが、明るい奥様がいろいろお話を聞かせて下さいました。年に5~6回開かれるサンシャイン展はじめ、新橋の古本まつりが3、5、10月とSL広場のこいちまつりが7月下旬、6月には新宿西口広場・・・と奥様の手帳は展覧会の予定でいっぱいです。今度は店売りにも力を入れて、本郷のお店でもともと中心に据えていた農林業や地質学関係書を、神保町という本好きの集まる街で、もう一度PRしてゆきたいとのこと。お客様の動向を見ながら品揃えを充実させ、本郷で親しまれたように神保町でもお客様に親しんでもらえるお店になさりたいそうです。奥様は、近くの自然林さんに教えてもらったりしながら目録データをネット上に掲載しようと頑張っていらっしゃいます。是非1度お店を覗いて見て下さい。(K)
★書林ふくろう 〒113-0033 文京区本郷6-17-4 津村ビル1F
- TEL&FAX 03-3818-4008
- 開店 2003年2月14日
- 営業時間 12時~19時
- 定休日 日曜・祝日 、 月・水・金曜は不定休
- 取扱 経済と理数系(数学・物理・コンピュータなど)の専門書
- URL http://www.fukuro-books.com
- 販売形態 ネット販売と店舗の二本だて、店売りが軌道に乗ったら冊子目録も出して行きたいとのこと。
- 屋号の由来、開店まで ”ふくろう”は知性の象徴であり、招き猫と同じように”福”をもたらすとされるので。会社勤めをしながら神保町めぐりや古書展めぐりはしていましたが、自分にもできそうだと思ったのはオンライン古本屋めぐりから、だそうです。リアル店舗は開店ほやほやですが、ネット販売は昨年6月頃からなさっているとか。手持ちの蔵書から始めて、古物商免許を取得、HPを立ち上げると同時に買い取りも始め、メルマガ登録500人、ネットの方は軌道に乗ってきました。ここで古書組合にも加入して、仕入れや、同業者との横のつながりも深めて行こうというところです。東京に出ていらして、しばらく谷中に住み、本郷周辺をよく散策していたので、店を出すなら本郷という思いはあったそうで、今は他のところにお住まいですが、いずれ谷中に戻ってきたいと仰っています。
- お店案内、今後の抱負 地下鉄本郷三丁目駅から歩いて8分、東大前駅からなら5分。東大正門前の井上書店の脇の道を入り、パパスというカレー屋さんのところの路地を右へ入ると、ありました!お邪魔したのは開店3日目の2月17日、できたての「ふくろう」さんです。表には緑の均一の棚。中は白い壁面にナチュラルカラーの木製本棚が並び、すっきりとした印象のお店です。奥のカウンターには、まだお若い女性店主の姿。「11月にお店を借りたんですが、本棚を作るのに時間がかかってしまって・・・」えっ?これ全部手作り?すごい!ニコニコしながら「普通の主婦ですよ」と仰っていますが、ただものではありません。表参道の日月堂さんにもいろいろアドバイスをいただいたそうですが、扱う書籍が硬い専門書なので、お店自体はシンプルなつくりになさったとか。棚には東京図書のランダウ・リフシッツシリーズや共立出版、岩波書店の品切本が充実しています。もちろん東大指定の教科書も揃っています(生協より安いですよ)。本郷通りからちょっと裏手に入りますが、覚えてもらえば学生さんも通ってくるでしょう。開店初日には、初めてのお客さんにBGMをほめられたと伺いました。ネットの方では、お客様が手作りHPを楽しんでくれているという感触があり、それがやりがいに繋がっているそうです。清潔感には気を遣い、梱包もパラフィンに包んで丁寧にキレイにと心掛けています。12月にはクリスマスシールを貼って送ったら、「クリスマスプレゼントありがとう」のメールがたくさん届いたそうで・・・女性ならではの感性が光るエピソードですね。今後もマイペースでゆっくり進んで行きたいと仰います。ネット販売も機械的に大量商品をこなすのではなく手作り感を大事に、HPを楽しんでもらえるように、店ではちょっとお散歩に来てもらえるよう居心地のよさを追求して行きたいとのこと。ダンナ様のご協力を得ながら頑張ってくださいね!皆様、お散歩コースに是非加えて見てください!因みにHP上で、「書林ふくろうができるまで」として、本棚作りの様子など公開されています。そちらも覗いて見てください。(K)
★くだん書房 〒101-0051 千代田区神田神保町1-34-26 第一越路ビル
- TEL&FAX 03-3233-2020
- 開店 2002年2月18日
- 営業時間 11時~8時
- 定休日 日曜日
- 取扱 江戸和本~現代の料理書、民俗・風俗、変わった漫画
- URL http://www.ne.jp/asahi/book/kudan/
- 販売形態 現在は店頭販売とネット販売。今年中に冊子目録を発行する予定。
- 屋号の由来、修業歴 「くだん」は九段ではなく、江戸期から伝わる「件」という想像上の動物だそうです。いただいた名刺にも、「件と云獣なり」と書かれたイラストが入っていました。江戸期の瓦版からとったものだそうで、人間の顔をした牛のようなものに見えます。修業歴はなし。もともと理系のご出身で、有名メーカーからの脱サラとか。大学時代に読んだ本や、古書展で趣味で集めた和本など、ご自身の蔵書からスタートです。
- お店紹介、今後の抱負 お店は地下鉄神保町駅から歩いて3分。A5出口を出て靖国通りを左へ、山田書店を過ぎ、ビックメガネとランチョンの間を左に折れ、少し行った右手にあります。ガラス戸を開けると、お店の左半分は漫画。貸し本漫画を中心にちょっと懐かしいものが並んでいます。手塚や藤子といった超メジャーなものを避けて個性を出したいと仰るご主人の目をくぐった本ばかり。中には新品と見まごうばかりのぴかぴかの貸し本もあります。いったいどうやって仕入れるのでしょうか。貸し本世代の方には必見のお店でしょうし、そのちょっと後だった方々にもオススメ。ちょうど私がリアルタイムで読んだような作品も、思いがけない高値がついていました。ウインドウの「パンと懐剣」6冊の18000円にびっくり!ご主人は、古いもの、既に高い評価を得ているものではなく、むしろ比較的新しいもの、評価されていないものにも目を向けたい、そして今は忘れられているものの中から光をあてれば輝くものを掘り出して、自身の解説をつけてお客様に届けて行きたいと言われます。まずはネット上で広く、ということですが、ネットを見てお店にいらっしゃるお客様も多いようで、直接のやり取りも大事にして行きたいとのこと。お店の右半分には、ご自身が大学時代に読まれた安部公房や中井英夫、幻想文学・SFが並び、古書展で収集した和本、民俗、風俗本が並んでいます。こちらはなかなか思うように補充できず、この1年でだいぶ淋しくなったので、今回、古書組合に加入したのを機に、市場でしっかり仕入れたいと仰います。ネットは利用するけれど、オークションは殆ど使わない、古本屋が値付けを放棄しては古本屋でないと思うからとの言葉は、重く響きます。この1年は実質プラスではなかったが、漸く軌道に乗ってきたという手応えを感じていらっしゃるとのこと。ご主人は自身のHP上で、小説を書いたり、「豆腐百珍」の料理を再現したりといった趣味の部分も公開されています。まずはHPをご覧になり、それからお店も訪ねて見てください。(K)
★喇嘛舎 〒101-0025 千代田区神田小川町3-16 池久ビル2F
- TEL&FAX 03-3233-5635
- 開店 2002年10月20日
- 営業時間 11時~7時
- 定休日 日曜日
- 取扱 詩歌集、文学、美術、イラスト、写真、全共闘、映画、音楽、演劇、子供の本、プロレス、タカラヅカ、雑誌、ポスター、風俗、漫画、レコード、つり、バレエ、ファッション、武道、サブカル
- 目録・HP 冊子目録を年に2~3回発行、HP開設を計画中
- 屋号の由来・修業歴 インド・ネパールが好きで行ったりしていたので喇嘛教から・・・。修業歴はなし。学生の頃に、蒲田に移られる前の龍生書林さんに通ったことぐらい。
- 引越しまで なんとなく暇そうで好きなことが出来そうに見えた古本屋(もちろん、現実は全く違いましたが)になろうと、大学を卒業して形だけ就職した後すぐに転身。三軒茶屋にお店を開いたのは1974年のこと。現代美術のマイナーなところ、アングラ演劇など、60年~70年のサブカルものを中心に据えて、一時は出版も手掛けられたそうです。ただ、古本屋で賑わっていた三軒茶屋も、進省堂さん、太雅堂さんらがお店を閉められ、ネットに重心を移す方もいらして、淋しくなってきました。これではお客さんをよべないと、神田への進出をしばらく前から検討、あきつ書店さんが入っているビルや虔十書林さんの場所なども考慮され、今回の移転開店の運びとなりました。
- お店案内、今後の抱負 靖国通りから三井住友銀行のところで錦華通りに入り、すぐ右へ折れます。右手に長島書店さん、その先には話題の新刊本と雑貨のお店ヴィレッジ・ヴァンガード。その向かい側、フランス料理のエスカルゴの2Fに喇嘛舎さん。階段を上がると、小さな看板に上記のとおりの沢山の取扱分野が書かれています。確かに19坪の店内には、本当にいろいろな本が置かれていました。間口を広げすぎると個性がなくなるし、狭くするとお客様が限定されて大変になる、そのバランスが難しいとご主人は仰います。三軒茶屋からこちらへ移られる際に、一般書的なものを大分処分なさったそうです。好きなもの、本当にご自身が扱いたいものに限定して、3倍になった広さをどう使うか、というところでしょう。とりわけ力を入れているのが上記の太字の部分で、サブカルとはいっても、よくあるポップな感じではありません。マイナーとか、アングラとか、全共闘とかいったスパイスをふりかけた一味違う本が並び、ご主人のこだわりが伺えます。
- 開店から20日余り、まだ以前のお客様に通知していないこともあり「暇ですね」。これから「神田というブランド名を生かして、目録でお客様を呼び、店を見てもらいたい」そうです。本を知らない人が多いからこそ、実際に本を手にとって見て欲しいと仰るご主人の思いには、共感する方も多いのではないでしょうか。是非、1度訪ねて見てください。(K)
★五十嵐書店 〒169-0051 新宿区西早稲田3-20-1
- TEL 03-3202-8201 FAX 03-3205-0812
- リニューアル開店 2002年10月1日
- 営業時間 10時~7時半
- 定休日 日曜日
- 取扱 国文学・言語・歴史・宗教・・・B1 美術・趣味・・・1F
- 目録・即売展・HP 冊子目録は発行していないがHP上に在庫目録を掲載、3ヶ月に1度くらい更新。(http://www.oldbook.jp)伊勢丹・京王・松屋のデパート展、古書会館(現在は教育会館)の城南展・新興展、西部古書会館の新宿展など即売展を精力的にこなしています。
- 屋号の由来、修業歴 勿論ご自身の名前なのですが、名前を広めるということは責任を持たねばということでもあると、HP上で語っておられます。お父さん(智さん)は、神保町の南海堂さんで11年。これもHP上に詳しいのですが、少し補足しますと、修業後すぐ、1964年1月1日にまず神保町でお店を開きます。今の豊田書房さんの場所が、南海堂さんで修業を終えた方が本格的な開店資金を貯めるまでの間、一応独立して店を経営する場だったそうです。そこで3年間、自己資金を蓄え、南海堂出身の仲間に助けられつつ、早稲田にお店を持ったのが1968年。早稲田の古本屋さんでは15軒目でした。店舗を増やせば人は集まると、平野書店さん、岸書店さんらを積極的に勧誘し、”早稲田古本街”のメンバー増強を図りました。・・・さて、その早稲田の店と共に生まれ、育った息子さん(次男)がお店を継ぐため戻ってきました(口説き落とされた?)。会社勤めを辞め、五十嵐書店で修業すること2年半、明治古典会の経営員としても頑張っていらっしゃいます。
- お店紹介、今後の抱負 JR高田馬場駅から早稲田通りを進み、明治通りを渡ると、左手に平野書店、三楽書房、文省堂書店、新井書店、関書店、そしてピカピカの新ビルの五十嵐書店があります。グレーの壁にガラス張りのモダンな建物で、入口には美しい胡蝶蘭、その横で画集を広げる若いカップル。ちょっと見ても古本屋さんとはわかりません。今までの早稲田古本街には見られなかった全く新しいオシャレな店が出来あがっていました。八重洲のR・S・BOOKSと同じデザイン会社が手掛けたそうで、なるほどと納得。1Fは趣味的な本や美術的な本がキレイに並べられ、目で楽しむことの出きる棚になっています。中央の文庫本が入った棚は低く、店内をさえぎるものがないので広い空間がゆったりとした雰囲気を醸し出しています。奥のカウンター(帳場)では、奥様が優しく微笑んでいらっしゃいました。若い息子さんの感性が生かされた洗練されたフロアです。奥の左手の階段を降りると、そこには、以前の五十嵐書店さんらしい硬い学術書―古典・近代文学、歴史、宗教などが壁面の棚にギッシリ詰まっています。品揃えには定評のあるこれらの本を収めるB1は、お父さんの守備範囲。長年培った人脈を大事にしながら、今まで通り店売りも大事にして行きたいとのこと。B1も中央半分はゆったりと空いていました。「空間があったら本を置きたい、全集もあるものは全部見せたい」お父さんと、「空間を美しく見せたい、全集も一部だけ見せてすっきりと」と主張する息子さんとで、意見が対立することもしばしば。でもお二人ともお客様がいらしてくれるよい店作りを目指す思いは同じ。高田馬場駅から約10分、早稲田駅からも近いとはいえず、商売をするには難しい場所だと仰います。年配のお客様が歩いてくるには不便な場所だからこそ、若い人をはじめ、いろいろな方々に入ってもらえるような雰囲気作りに本格的に取り組まれたのでしょう。開店1週間で、明らかに客層が変わったそうです。これまで99%年配の男性でしたが、半分くらいは幅広い年代の女性やカップルになったとか。ただ、これまでいらしていたお客様にB1が判りにくそうなので、改善策を考えますとのことでした。これからもっと1Fの品揃えを充実させていきますと仰る息子さんを、にこにこと見守るお父さんが、本当に嬉しそうで印象的でした。親子リレーは順調、適度にバトルも繰り広げながら、より素敵なお店を目指してください。・・・皆さん、”新しい早稲田”へ是非どうぞ!(K)
★古書 街の風 〒101-0003 千代田区一ツ橋2-6-12 上村ビル1・2F
- TEL 03-5213-8010 FAX 03-5213-8014
- 開店 2002年10月初旬
- 営業時間 11時~6時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱 古絵葉書・古地図・旅行案内など
- 目録・即売展・HP 2002年10月初旬に目録第1号を発行、11月下旬には「日本の古本屋」にデータを掲載、ここ1年くらいの間にはHPも開設する予定。即売展は今のところ予定なし。
- 修業歴 神保町の老舗の次男として生まれたご店主、はじめは、お兄さんがいるし、古本屋になる気はなかったそうです。ところがサラリーマンを2年半ほど経験するうちに、会社づとめに比べて自由で生き生きしている古本屋に魅力を感じるようになりました。ちょうど秦川堂の店員さんが独立(医学史専門の泰成堂書店)されるというので、代わりにお店に入ることに。勿論秦川堂さんはお兄さんが継がれますから、独立が前提でした。そして6年間修業ののち、今回独立して新規開店の運びとなりました。
- 屋号について 旅行案内や古地図などを扱うため”街”という言葉にこだわりたかったとか。
- お店案内・今後の抱負 靖国通りの秦川堂書店から九段下方向へ、南海堂書店で左折して進み、わかしお銀行の裏手向かい側に街の風さんがあります。事務所兼倉庫で店売りはありません。開店を半月後に控え、お忙しいところに、お邪魔してきました。「僕は兄のように愛想よくありませんから」と仰いますが、なかなか落ち着いていらして話しやすい方です。お兄さんが明るい行動派なら、弟さんは静かな思索派といったところでしょうか。不況の中、神保町でも大変な船出ですね、と伺いましたら、「バブルのいいときを知らないし、サラリーマンより努力が実を結ぶ仕事だと思っていますから」と前向きなお返事でした。世間一般がネットに目を向けている中で、今までのお客様を大事にしたいと、冊子目録を基本に据えていきます。修業中に目録作成の楽しさを知ったことと、お客様の反応が直接すぐに見える面白さに惹かれるそうです。秦川堂書店とはジャンルは同じでも、もっと細分化された部分や、より手ごろな価格帯のものを扱うことによって、すみわけできると仰います。細かな地道な作業が得意だそうで、10月初旬に発行される第1号が楽しみです。第1号はB5判、120頁、3500点掲載の予定。以後は年3回発行予定とのこと。是非1度、お問い合わせなさってください。(K)
このところ、神保町に進出していらしたのに撤退をされたお店がありますので、お知らせ致します。(場所は変わっても、営業は続けていらっしゃいます)
☆下井草書房神田支店 (千代田区猿楽町2-2-7 第2浦野ビル)閉店→ 東村山市本店で営業
☆コム書店 (千代田区三崎町2-21-10 渡辺ビル1F)閉店→ 船橋市中野木の事務所で営業
☆天狼書店 (千代田区神田神保町1-18-1)閉店→ 世田谷区三軒茶屋に事務所を開く予定
★ブックパワーRBセカンド 〒101-0051 千代田区神田神保町1-7 日本文芸社ビル1F(菅村書店へ店名変更)
- TEL&FAX 03-5281-2877
- 開店 2002年6月10日
- 営業時間 11時~20時 土曜・日曜・祝日 11時~19時
- 定休日 年末年始以外は無休
- 取扱 乗り物専門 くるま・バイク・鉄道・航空・船舶・ミリタリー・ホビー・モデル
- 目録・即売展・HP 目録・即売展はなし。HPでお店を紹介しつつ、メールでの問い合わせを受けています
- http://www2.biglobe.ne.jp/~rb
- 修業歴・移転~開店まで ご店主はもともと神保町で働く編集者。雑誌が好きで源喜堂さんや松村さんなどにもよく立ち寄っていたそうです。数年前、さくら通りにブックパワーRBさんが出来て、雑誌だけでもこれだけのパワーがあるんだと驚き、その古本屋としての”新しさ”に惹かれて華麗なる(?)転身を遂げました。RBさんで4年、見た目よりずっとキツイ古本屋の仕事に、なんと20kg減!はじめはRBさんの隣に出来たRBセカンドさんには、アイドルやファッション関係なども入っていましたが、今回、靖国通りに面した神保町1丁目に進出することになり、こちらは乗り物専門書店になりました。トラックで運びきれなかった本を台車でせっせと運ぶ姿を見ながら、大変だな―と思ってはいましたが、今回お話を伺って、6月10日(月曜)開店なのに最終的に棚が入ったのは8日(土曜)という凄まじい状況だったと知りました。
- 新しいお店 神保町交差点から靖国通りを三省堂方向へ。一誠堂さん、松村さん、新刊書店の三光堂、その次の白いビルが日本文芸社ビルです。因みにその隣は巌松堂さん。(もっと先の古瀬戸コーヒーが入っている日本文芸社ビルの方が目立つようで、よく間違う方がいらっしゃいます)入口にRBセカンドさんの看板が出ているのですが、気づかないで通りすぎてしまう方もいます。ビルの入り口のちょっと重いドアを開けると、真正面にセナの大きな写真。ガラスケースの中にはくるま関連のトレーナーやキャップなどグッズ類。お店に入ると、右手に新しめの雑誌の棚、ポストカードのラック。そして壁面と中央の棚に乗り物関連のあらゆる雑誌がビニールにくるまれ、びっしりと詰まっています。床に置かれた籠の中のカタログを漁るスーツ姿のビジネスマンも目につきました。1丁目の表に出ていらしてさぞやお客様が増えたかと思いきや、ビルが引っ込んでいて目立たなくてそれほどでもないそうです。さくら通り時代の常連さんも3分の1はまだいらしていないとか。お昼休みのお散歩コースからはずれてしまったのか、やっぱりちょっと判りにくいのか…。そんな中、増えたお客様はカップルや親子連れといいます。考えようによっては新しい顧客や、将来のマニアを育てられるかもしれません。今のところは、せっかく男性が買おうとした品物を半減させる女性の強さだけが際立っているという状況のようですが。お客様は朝はマニア、昼休みはネクタイ率が上がり、午後は学生、5時を過ぎるとまたネクタイ族になるとか。
- 今後の抱負 とにかく間口を広く、マニアックな男性ばかりでなく、乗り物にちょっとでも興味を持った方にきてもらえる入門編の古本屋をめざすとのこと。そのためにはやはり幅広い品揃えが必要。他のお店なら扱わないような安い雑誌でも、目を揃えて並べることによってお客様に応えようという姿勢はさすがです。戦闘機なども扱う文華堂さんに「クルマは任せた」と励まされたそうです。青木さんやアカシヤさんたちよきライバルと競い合いながら、頑張っていただきたいと思います。初心者でもホント、大丈夫なお店です。是非1度足を運んで見てください。(K)
★古書日月堂 〒107-0062 港区南青山6-1-6 パレス青山207号
- TEL&FAX 03-3400-0327
- 開店 2002年5月21日
- 営業時間 12時~20時 (18時以降は階段に鉄扉が閉まってしまうのでご注意)
- 定休日 日曜日 (月・水・金は不定 電話連絡後に訪ねてください)
- 取扱 1920~30年代の都市風俗に関するビジュアルな書籍・雑誌が中心
- 目録・HP・即売展 冊子目録を年1回発行、HPを最近独立して立ち上げました。冊子目録小型版をネット上で、とのこと。6月と12月は五反田展、7月と12月は浦和伊勢丹の展覧会に参加。
- お店案内 神保町から地下鉄半蔵門線で12分、表参道の駅A5出口を出て右へ。根津美術館方向へ向かいます。大松稲荷神社のすぐ先は、あのコム・デ・ギャルソンのかっこいいお店。道の両脇には、日本を代表する有名デザイナーのお店が並び、神保町に馴染んだ身には気恥ずかしいくらいオシャレな通りです。とりわけお年を召した方々にオシャレな方が多い!ヨックモックでちょっとお茶をしてもいいでしょう。根津美術館の前、南青山4丁目信号の右手、パレス青山ビルの2階に目指す日月堂さんがあります。見たところフツーのマンションで入口には管理人さん、階段を昇ろうとすると”関係者以外立入禁止”の札。恐る恐る2階に上がるとやっぱりフツーのマンションの廊下。予め電話連絡をしていても「ここでいいんだよね」とおもわずつぶやいてしまいます。初めて行く方にはちょっと入りにくいかもしれません。廊下に大きな紫陽花の鉢植えが置かれていて判りました。(因みにお隣は銀鈴堂さん)お店の入口に立ってびっくり。原色に目がくらみます。真っ赤な床は職人さんが塗ったあと、店主自らペンキ塗りをなさったとか。右の壁面には天井までオレンジ色の棚(大岡山時代の丸善製の棚にペンキを塗ったもの)。それからサイズの異なるオレンジ色のボックス20個。これは組み合わせ次第でどんな書棚にも家具にも変身可能というすぐれものです。この日は部屋の中央と左の壁面、入口とに分けて置いてありました。オレンジ色の棚とボックスには、空間を贅沢に使ってビジュアルな本や雑誌が並んでいます。1867年のパリ万博の大判アルバムがオレンジ色のボックスの上で存在をアピールしていました。本来なら狭ければより一層本をぎっしりと詰め込むのが古本屋さんでしょう。日月堂さんも、最初は(大岡山のときと同じように)そうなさったそうですが、オレンジ色の棚に本が負けてしまったそうです。そこで棚の幅や並べ方に強弱をつけて、本を面で見せるようにしてみた結果がこのお店。店主によって自在にアレンジされた空間が、空間として楽しめる状況になっています。正面のカウンターも店主自身の設計による特注品(これもオレンジ)。引出しの2段目には、渋沢の文庫が美しく並べられていました。このあたりは他のお店にも参考になる工夫かと思います。それにしてもたった六畳の空間でこのインパクト。エライ!
- 今後の抱負 「ものを考えねば生き残って行けない時代になってきている。物量では大手チェーン店にかなわないし、神田の老舗のような王道はとても歩めるはずもない。ものと情報の洪水の中、一定の基準により絞込みをしたセレクトショップとして、そしてゆったりとした購買意欲をそそる空間として、店自体がもっと面白く楽しくなくては」と、店主は熱い思いを語ります。言われて見れば、空間をアレンジし、見せるショップを作るということは、他の業種では珍しいことではないのですよね。店主は、他の業種の”一級の店”を間近に見られる表参道という街の魅力も大きいといいます。毎年パリへも買い付けに行かれるのだそうです。きっと今までとは違ったお客様方が訪ねることでしょう。”未来は明るい”と信じて、「1mの空間に100年の時空を閉じ込められる古本屋としての面白さを追求して行きたい」という、日月堂さんに拍手。新しい古本屋を見たい方には必見です!(K)
★ギャラリー・古書肆アート2001/C 〒960-0702 福島県梁川町東大枝字北林正寺10-2(大枝小学校前)
- TEL090-2790-9857
- 開店 2001年9月1日
- 営業時間 PM1時~6時
- 定休日 月・火・水曜日
- 取扱 美術書・美術関連雑誌
- お店案内 福島市の北、梁川町に、元農協の石倉を利用したギャラリー兼古書店がオープンしました。JR東北本線藤田駅下車、タクシーで10分。車なら東北自動車道国見ICを出てR4左折、国見町役場交差点、右折10分の大枝小学校前にあります。地元の農協が米倉として使っていた石倉は高さ約5メートル、広さ約40坪。ギャラリーでは毎月企画展が開かれ、作品が展示・即売されています。古民芸や骨董も扱うので、お客様も幅広くいらしているようです。古書はご自身が収集した美術書が中心。お客様の美術書を、特産物(桃・梨・林檎・米など)と交換しますと、新聞のニュースでも取り上げられました。(福島の果物は美味しいですよ!)ただし、くれぐれも勝手に送りつけることなどはなさいませんように。必ずご連絡の上、お願いします。
- 今後の抱負 ギャラリーと古書店を融合させた空間で、普通の美術館では味わえない現代アートの発信地を目指したいとのこと。開店して半年が過ぎ、如何ですかとお尋ねしましたら、まあまあ元気にやっていますよとのお答えでした。ご主人は、神田神保町のみはる書房さんとは出身高校が同じで、よく話をされるそうです(みはるさんが3年後輩)。福島の田舎で新しいスタイルを追うアート2001/Cさんと、神保町の裏手で即売展等にも精を出すみはるさん、どちらにも頑張っていただきたいと思います。ちなみにアート2001/Cさんでは、「日本古書通信」を販売しています。地方ではなかなか置いているお店もありませんので、ぜひアート2001/Cさんを訪ねて「古書通信」も手にとってみてください。・・・実は私も福島出身、帰郷したら1度お訪ねしたいと考えています。(K)
★魚山堂神保町店 〒101-0051 千代田区神田神保町2-14-6 谷地ビル2F
- TEL03-5211-6003
- 開店 2002年4月27日
- 営業時間 10時~6時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱 カメラ文献、写真文献、写真集
- 目録 年2回発行 (有料) HPは考慮中
- 修業歴 開店まで 神田神保町の東陽堂書店で10年修業後、独立。旗の台(品川区旗の台4-7-5)にお店を開いて11年目になります。先日、白山通りの「ギャラリー繪」が神保町2丁目・靖国通り沿いの神保町ブックセンター(文泉堂書店)跡に移り、「ギャラリー繪」の2階で近代文学を専門に扱ってこられた文泉堂さんがその方面から手を引かれました。文泉堂の谷地氏は、東陽堂出身の先輩にあたります。旗の台のお店は”普通の古本屋”なので、専門である目録分野を倉庫を借りるとか事務所を別にするとかして独立させたいと考えていた矢先のことだったそうで、すぐに神保町店開店の運びとなりました。
- お店案内、今後の抱負 神保町交差点から水道橋方向へ向かう左手、ギャラリー繪の跡には奇しくも写真屋さんが入っています。その2階、階段を上ってお店に入ると、10日後の開店に向け、準備の真っ最中。お忙しいところでしょうが気持ち良く時間を割いてくださいました。すでに書棚は殆ど整理されているようにみえました。左手の壁にズラッと並んだ本は一般のお客様用、奥の右手の移動書架3基にぎっしり詰まった本は目録用だそうです(この移動書架は文泉堂さんのものを受け継いだとのこと)。この移動書架、とてもたくさんの本が収納されそうなのですが、奥行きがあまりなくて大判や変形判の多い写真文献・写真集には思ったより使いにくいようです。3基6面の外側2面だけに、はみ出してしまう大判の本を入れるようにしないと、動かしたときトコロテン式に飛び出してしまうのだとか。こちら神保町店は専門ジャンルのみで半分は事務所的な営業になる模様。旗の台のお店は勿論そのまま続けられますが、神保町店を拠点に冊子目録に力を入れてゆかれるとのことです。仏教書の東陽堂さん出身でなぜ写真に?と伺いましたら、開店当初の3人のお客様との出会いがきっかけで、その方々に教わりながら専門分野として確立なさったようです。もともとアイテムが少ない上に売れるジャンルが限られていることが辛いところだそうですが、「今後は写真にかかわらず、デザイン、ポスターにも力を入れてゆきたい」との言葉。この分野に興味のある方には必見のお店です。ぜひ訪ねてみてください。(K)
★古本遥 〒176-0012 練馬区豊玉北5-24-21
- TEL 03-5999-2280
- 開店 2001年10月25日
- 営業時間 11時~8時半
- 定休日 無休 (ごくたまに臨時休業あり)
- 取扱 昭和30年代中心の文芸・東京関係文献、一般書・文庫
- 目録・即売展・HP 今のところ予定なし、店売りひとすじ
- 修業歴 もとは眼鏡チェーン店のサラリーマンをなさっていたそうですが、前々から古本屋さんに対する憧れはありました。平成10年6月に池袋・八勝堂書店に入社、3年間修業して昨年独立、念願の古本屋開業の運びとなりました。
- 屋号について 「古本遥」で「ふるほんはる」と読みます。ご主人のお名前が吉治さんで、よしはるの「はる」と、遥=未来に広がって行くイメージをかけたネーミング。でも仲間の本屋さんにもやっぱり「はるか」さんと呼ばれることが多いそうですが・・・。
- お店案内、今後の抱負 西武池袋線の練馬駅下車、南口を出て練馬警察署の横には一信堂書店さん。そこからまっすぐ、目白通りの練馬警察署南の信号を渡ります。豊玉庚申通りに入ってすぐ右手に古本遥さんがあります。こじんまりとしたお店で、右の壁面には文庫本、左の壁面には一般書、通りに面した低い棚(これはなんとご主人の手作り!外からも内側からも本がきれいに見えるように工夫されています)には絵本や中原淳一の本・絵葉書。真中の棚には、昭和30年代からの東京関係文献や文芸書、「明星」「平凡」などの雑誌、そしてご主人が以前良く読まれたという中井英夫など幻想文学の本が詰まっています。ご主人の思いは昭和30年代の文芸、東京関係文献の棚に込められているようで、その辺りを中心に品揃えを充実させて行きたいとのこと。木の棚の温かみを生かした優しい感じのお店です。近くに良いスーパーがあることも手伝ってか、お客様の4割は若い女性客だそうです。一般に女性客はあまり高い本は買いませんけれど、これまでの古本屋さんのお客様の幅を広げるには大事にして行かなければならない存在です。その辺りとご自身の目指すところをうまく融合できればともお考えのようです。八勝堂さんでは売れた「平凡」「明星」は、懐かしがるお客様はいらしてもなかなか買ってはもらえないらしく、その地域に合わせた品揃えを模索しているところとか。ネット通販は盛んになってきましたが、まだまだ本が羅列されているだけのHPが殆ど。本を一冊一冊生かして行くためにはやっぱり店売りにこだわりたいとご主人はおっしゃいます。これからの若い方に店の雰囲気を感覚的につかんでもらえるように、完成されたテーマパークのイメージで店作りをしていきたいとのこと。お店の雰囲気とそこに並ぶ本が一致して、本と店がつながっているという関係が理想だそうです。この不況の嵐の中の出帆ですが、どうか初心を大事に乗り切られますよう・・・ぜひ皆様も訪ねて見てください。(K)
★十勝書房 〒101-0051 千代田区神田神保町1-22 NTビル1F
- TEL&FAX 03-3233-7474
- 開店 2002年1月14日(千歳烏山から神保町へ進出)
- 営業時間 10時~7時
- 定休日 日曜日
- 取扱 歴史(アイヌ関係あり)・美術系をメインに文学・哲学・古書一般
- 目録・即売展・HP 冊子目録はいまのところ予定なし。即売展は伊勢丹、東急東横店のデパート展と城南展に参加。共同でHPを開いているが現在工事中、落ち着いたら再開し、日本の古本屋にも参加する予定。
- 屋号について ご主人が北海道(あの松山千春を生んだ足寄町)出身だから。帯広の春陽堂さんとは同級生で、サッポロ堂さんともお友達。本棚にアイヌ関係書籍が並ぶのは、そんなこととも関係しています。
- 修業歴~開店まで 北海道から上京、三軒茶屋の太雅堂書店で7年間修業後、独立。初めは中野で、資料会の仕事などをこなしながら店売り中心に営業。その後世田谷区粕谷へ、千歳烏山の駅の近くで営業していましたが、そのお店を昨年11月末に閉めました。なんといってもこの不況下、店売りの落ち込みが激しいところに、近くの青山学院大学理工学部も移転するということで決心なさったそうです。最初から神保町と決めていたわけではなく、あちこちあたった結果、この地に開店することになったとか。学術書・資料的なかたい本が神保町なら売れるだろうという予測と、競争相手がいる方が刺激になるという自分自身への叱咤激励の思いもこもっているようで・・・。
- お店案内 今後の抱負 靖国通りから三井住友銀行のところで猿楽町の通りに入ります。右手にお茶の水小学校(もとの錦華小学校)、正面に日本出版貿易のビル。通りの左側、日貿ビルの向かい側の花屋とドトールコーヒーの間に十勝さんのお店があります。真前に柱がどーんと立っていて入口が少しわかりづらいのですが、そのうち、太雅堂さんから譲られたという看板が目立つ場所に置かれるようになるでしょう。伺ったのはまだ開店数日前。入口からちょっと狭い通路に文庫の棚。美人の奥様(もと古本屋さんです)がてきぱきと文庫を並べていました。奥は広く、入口付近のものも含めてスチールの本棚は全部で40本。棚の配置は決まったものの、まだ床には結わえたままの本が積んでありますし、電気工事がこれからだということで、天井には配管がみえていました。そんな開店準備でお忙しい合間をぬって、にこやかに取材に答えてくれた十勝さんの、今後の抱負は「先行き不透明なこの時期に古本屋で何ができるか模索中」だそうです。小学生のお嬢様が本に読み耽る傍で、奥様はひとこと「子供が小さいですから頑張ってもらわないと」・・・お気持ちとても良くわかります。これから音楽書(ジャズやクラシックなどの資料的な本)にも力を入れてゆくとのこと。移転に伴い漫画は全て処分、かための路線で頑張る十勝書房さんをぜひ訪ねてみて下さい。(K)
★古本三弓 〒101-0052 千代田区神田小川町3-20 稗田ビル2F
- TEL&FAX 03-3295-1539
- 開店 2001年4月5日(大井町から神保町へ進出)
- 営業時間 12時半~6時半
- 定休日 第1・3・5日曜日
- 取扱 映画パンフ・チラシが99%
- 目録・即売会 現在予定なし
- HP ”日本の古本屋”に店舗のデータだけのっています 商品データは休止中 自社HPを作りたいと考えてはいるのですが・・・
- 屋号の由来 お世話になっていた外科のお医者さんのペンネームから。そのお医者さんに対する憧れと、語呂がよいからだそうです。ついでに男3人兄弟で、三矢より三弓の方がより折れにくいとも。
- 修業歴 郷ひろみさんと草野球をしたこともあるというご主人が、映画にはまり出したのは、中学1・2年生の頃・・・有楽座の前で古い映画のパンフを定価で売っている露店がありました。ちょうど「トリュフォーの思春期」がかかっていた頃でしょうか。露店の店員と日参しているマニア達の話に自然と耳を傾けるようになり、いつのまにか自分もその輪の中に入り込んでいました。トリュフォーやゴダールを皮切りに、そこから膨大な知識を得ることになります。そこで仕入れた知識を元に、早稲田の古本街でパンフを漁りました。芳賀書店のシネアルバムシリーズもよく読みました。お金がないから立ち読みです。映画を見て、パンフを買うだけで精一杯でしたから。普通の学生割引より少しでも安く映画をみるのに苦心しました。ともかく原点はあの露店でしょうね。今でもその知識が役に立っているのです・・・こんなお話を聞かせていただきました。
- お店は靖国通りの三井住友銀行のところから明治大学・お茶の水方向に斜めに上る富士見坂の途中にあります。ビルの2Fで、1Fは虔十書林さん。4月1日入居で、2日で内装、2日で整理し5日開店というすばやさ。細長いフロアの両脇にパンフ・チラシがきれいに並んでいます。手前の方には「ナウシカ」や「魔女宅」(¥1000)のようなアニメや、ビートルズの「イエローサブマリン」(¥2500)など、若者向けの比較的新しい作品。奥の方にガラスケースが4つ。そのうち3つは補充がきかないもの―つまりお宝的な物ということになります。懐かしい「モスラ対ゴジラ」もありました。ザ・ピーナッツが「モスラ~や、モスラ~」と歌っていましたね。私も子供の頃、劇場で見ましたがパンフなんてあったんですね。展示品はパンチ穴があるので¥12000、なければ¥50000くらい。ガラスケースに飾ってあった中で一番高かったのは「大アマゾンの半魚人」¥70000。これが最高ですか?と伺ったら、「博士の異常な愛情」みゆき座¥150000を出して見せてくれました。この前TVの「鑑定団」で¥200000だったけれど、これはペンで日付が書きこんであるため五万円引なのだそうです。
- かなりマニアックな世界を見せていただきましたので、さぞご自身でも映画館にお通いかと思いきや、今年はまだお子様との「ポケモン」だけなのだとか。でも、そんなご主人が目指すのは”ないものがない店”。戦前資料は稲垣書店さんなどにおまかせして、扱うのは戦後のもの。それでも何万冊あるか解らないパンフを全部集めて”ここにくればなんでもある”というお店にしたいということです。さすがプロ!映画好きには必見です!(K)
★番外編・女性古書店主たちのつくる棚
- 11月8日~19日 渋谷PARCOパート1 B1ロゴスギャラリー
- 同人 女性古書店主6人
- 銀杏書房 〒186-0004 国立市中1-16-37
- 呂古書房 〒101-0051 千代田区神田神保町1-1 倉田ビル4F
- 古美術 銀鈴堂 〒244-0003 横浜市戸塚区戸塚町3029 サンシャイン渡辺ビル1F
- 古書・骨董 游古洞 〒248-0012 鎌倉市御成町13-30
- 春日書店 〒333-0866 川口市芝2616
- 古書 日月堂 〒145-0062 大田区北千束3-23-6
- 先日、朝日新聞でも大きく取り上げられましたのでご存知の方も多いでしょう。今秋、業界初の女性同人のみによる古書展が開催されました。明治期に始まったといわれる古書即売展の歴史に、新しい1頁が加わったことになります(日本古書通信10月号古本屋の手帖参照)。
- 11月15日午前中にちょっと伺ってみました。決して広くはない、というよりはむしろ、こじんまりとした空間に、可愛らしい蔵書票、古絵葉書、豆本、版画、うっとりするような洋書、ちょっと懐かしい雑誌などがお洒落に並んでいました。お値段も200円の絵葉書から○十万円の洋書まで。これまでの古書即売展にはなかったセンスで選ばれた品が、渋谷PARCOという場所を得て生き生きと輝いていました。普通のデパート展などのイメージで訪れた方には、これしか(本の量が)ないの?と言う声もあったようですが、このくらいの方が見易くていいねと概して好評だったのではないでしょうか。そして、なんといっても普通の即売展では絶対いないタイプのお客様がいたことは確か。私が訪れたときにも、PARCOならではのファッションに身を包んだ若い女性が「中原淳一のものありますかあ?」と入ってきました。渋谷における女性の感性を生かしたセレクトショップは、古書に馴染みのなかった新しいお客様を開拓し、業界に新風を吹き込んだといえるでしょう。
- このHPを更新する頃には会期は終わり近くなっているでしょう。この古書展が定期化するかどうかは未定だそうですが、また別の新風が吹くかもしれません。期待したいと思います。(K)
★キントト文庫 〒101―0051 千代田区神田神保町1-19-1 藤本ビル2F
- TEL&FAX 03-3294-8700
- 開店 もともと蔵前に新規開店したのは5年ほど前。そこから神保町進出をはかり、最初は現在の書肆埋れ木さんの場所へ。次に翠光堂さんの斜め前に、そして今夏、すずらん通りの現在のところへ移転開店しました。
- 営業時間 2時~7時
- 定休日 日曜・月曜・祝日
- 取扱 へんな本・面白い本 玩具・物・昭和・東京・風俗・芸能
- 即売会・HPは予定なし 広告・チラシ感覚の目録発行を考慮中
- 屋号の由来 ”駄菓子屋みたいな古本や”を考え、昭和30年代の雰囲気でインパクトのあることば…を探したら”キントト”に落ち着いたそうです。帳場の上には、開店祝いのプレゼントという、セルロイドの桃色金魚(1950年代製?)が空中を泳いでいます。
- お店の紹介&今後の抱負etc 少し急な階段を昇った2F、帳場の脇には大きな昭和30年代くらいの明治アイスクリームボックス。8坪の店内にはガラスケースと本棚がぎっしり。そして棚にはちょっと変わった本がいっぱい。並んでいる本はすべて各地の古書店や即売展でセドリしてきた本だそうでびっくりです。40代くらいの方々が懐かしがりそうな子供の本、ちょっと古い工作や手芸などモノに関わる本、マニアックな風俗史料や猟奇・犯罪関係などなど守備範囲はかなり広め。1冊1冊が、”見つけにくい本・探しにくい本を探す”という店主の手で掬い上げられた1点もので、かなりのめりこんでしまうお客がいそうです。ご自身の体験から、古本屋で本を探すことがむいているかも、と漠然と思ったのがこの仕事に入る入るきっかけだそうですが、確かに棚をみると、”探す”ことに費やしているものすごいエネルギーが感じられます。そんな彼女(すてきな女性店主ですよ)の思いがこめられた値付けですから、興味がない人には納得できないかもしれませんけど。小社発行の「全国古本屋地図」の20年以上前の版(当時は上下2冊箱入でした)は¥2500の値が付いていました―たまに昔の古本屋地図が欲しいとのお尋ねがありますから、そんな方はこちらをお勧めすることにしましょう。
- ネットなどで情報が広がり、お客様が歩かなくても本を探せるようになってきました。そんななかで、検索しても見つからない本、簡単には手に入りにくい本をプロとして揃えてゆきたいとの言葉に力強さを感じます。本のことをよく知っている高齢のお客様に「この本、よく見つけたね」と褒められるのがすごく嬉しいとか。ただ、「戦前の黒っぽい本がやはり品薄になってきていますね。お客様がお買い上げになった本は、探しにくくて二度と見つからないだろうと手放しませんから、客買いがなく、仕入れが限られているのが悩みです」ともおっしゃっていました。今まで平面的にしか動いてこなかったから、跳ばなくちゃ、という発言が印象的でした(業界の中では非常に”翔んでる”古本屋とのイメージがありますから)。お話を伺っている間にも、沢山のお客様が出入りしていました。お客様は老若男女バランスよくいらっしゃるようですが、なかでも古い手芸の本を手に入れてにこにこして帰っていかれた30~40代女性のようなお客がいるということは強みでしょう。神田神保町にもいろいろなカラーの古本屋が増えてきましたが、最も異色の店といえるかもしれません。ぜひ1度訪ねてみてはいかがでしょう。(K)
★古書フジタカ 〒101―0051 千代田区神田神保町2-26 奥野かるた店2F→神保町1-54へ移転、店名も富士鷹屋と漢字になりました。
- TEL03-3294-1128
- 開店 2001年3月29日(実際本が揃ったのは4月末頃)
- 営業時間 11時~6時半
- 定休日 日曜日
- 取扱 ミステリー、SF、探偵小説中心
- 目録・即売会は予定なし、HPを近々開設、今月中にはネット通販をはじめます
- 屋号の由来 もともとご実家は仕立てやさんだったそうで、その”富士鷹屋”の号を継がれたそうです。
- 今後の抱負etc.以前から本は好きで、高校生の頃からちょこちょこ神保町に通っていました。2丁目にあった東京泰文社さんにはよく入り、随分勉強しました。古本屋でアルバイトをした経験はありますが修業というほどではありません。親からうけた商人としての教えと自身の経験、興味からこの道を選びました。まずは自分で読んで収集した本からのスタート。奥野かるた店さんに置いてある商品・ゲームと繋がる部分がある、ミステリーという分野を中心に、細く長く続けて行きたい、とのおはなしでした。奥野かるた店に入り、右手の階段をのぼって2階へ。奥野さんの古書部と同居するかたちでフジタカさんのコーナーがあります。実家の屋号を背負って、真面目にコツコツ頑張ろうという姿勢に好感が持てました。ネット中心になさるそうで置いてある本の量は少ないですが、奥野さんのコーナーにはゲーム関連洋書なども並んでいます。この日のおすすめは「ディー判事シリーズ ロバート・ファン・フーリック 三省堂 全4冊 16000円」でしたが、これは既に売れてしまいましたとのこと。新たな掘り出し物を探して、ぜひ1度立ち寄ってみてください。(K)
★虔十書林 〒101―0052 千代田区神田小川町3-20 稗田ビル1F
- TEL03-5282-3963
- FAX03-5282-3964
- 開店 2001年5月24日
- 営業時間 11時~9時 土曜・日曜11時~7時
- 定休日 水曜日
- サブカルチャー、ビジュアル系を中心にいろいろ
- 目録・即売会・HPは今のところ予定なし、店売り一本・・・ですからいいモノはどんどん店頭に並びます!
- 屋号の由来、修業歴 埼玉のかすみ書房で6年修業、そのときの仲間の岩手・虔十書店さんから屋号をもらったとのこと。(もっとも、賢治の故郷・岩手では、書店に限らず虔十と名のつく店がゴロゴロしているそうですけど) ちなみに埼玉のかすみ書房さんは、多くの古本屋さんを育てていて、神保町のカスミ書房さん、川越の凌雲堂さんなども、そこのご出身だそうです。
- 今後の抱負etc. 店は、富士見坂(靖国通りと猿楽町通りの交点・三井住友銀行のところを明治大学方向へ斜めに登る坂)にあります。板橋区蓮根からアダルトとマンガをはずして神保町に進出。(文庫・マンガ・一般書の2号店は街の古本屋としてそのまま蓮根で営業しています。)2Fの三弓さんに誘われて、ということだそうですが、神田にいらしての印象をうかがうと、「自分の棚のオススメ本を仕入ることができれば、確実に反応がある街」との答えが返ってきました。事実、板橋にいらしたときは年に数回しか開け閉めしなかったガラスケースを、開店1か月の間に10年分くらい開け閉めしたとのこと。新規開店の方がみなさん仰いますが、「本を買うためにくるお客様が圧倒的に多い」のは、やはりこの地ならではのことなのでしょう。ガラス越しに、カラフルな本が並ぶ明るい店内がよくみえます。店の前の均一台も、かわいらしいバスケットに本が盛ってあったりと、置き方・並べ方に工夫があります。本がかわいいから、たとえ均一台の本でも1冊1冊大事に扱って欲しい、という奥さんの思いのあらわれでしょう。やまだ紫さんに描いていただいたという猫の看板が目をひきます。その看板を淋しがらせないようなお店を目指すご主人は、終生、本に関わって生きてゆく覚悟をおもちのようです。いま神田で元気な店、オススメですよ!(K)
★ちいろば 〒101―0051 千代田区神田神保町1-41
- TEL&FAX 03-5283-5510
- 開店 2001年6月16日
- 営業時間 10時~6時 (ひとりなので休憩時にちょっと閉めることあり)
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱 西洋史・考古学・キリスト教・思想哲学
- 冊子目録 夏ごろに発行予定
- HP 現在作成中 7月開設予定
- 出身(修業歴) 神保町 村山書店にて18年間修業、今春独立
- 屋号の由来 聖書 ルカ伝に、イエスがとるに足りない小さなロバに乗ってくる記述があり、”ちいろば”は、どんな小さなものでも何かの役に立てるというシンボルだそうです。
- 今後の抱負 キリスト教(及びその他の宗教も含め)関係の本というと、誤解や偏見、一種のアレルギーを持つ人々が多いようですが、普通の人が普通に楽しめる本としての興味を感じて欲しい、そのための一助となる店にしたいそうです。
- お店は羊頭書房さんの斜め向かいにあります。伺ったのは開店3日後。間口が狭く奥行きの深い古本屋らしい作りのフロアに、新しい木目調の棚がズラッと並び・・・でもさすがに本はまだ少し。ご自分の扱いたい本を半年から1年かけてじっくり揃えていきたいとのことです。ちょうどお話を伺っているときに、村山書店さんがお祝いを持って激励にいらっしゃいました。村山さんとの会話の中に、市場に仕入れに行っても、入札するときに店員時代と違うプレッシャーを感じ、臆病になるとの発言もありました。でも、すぐ7月にはHPを立ち上げ、その後に冊子目録も発行されます。まずはHPや目録でお客様に知っていただき、それからお店も充実させていこうと、スタンスもはっきりしていて今後が楽しみです。ご店主のお顔だけでも覗きにいらしてみませんか。(K)
★大島書店 〒101―0051 千代田区神田神保町1-1 倉田ビル1F
- TEL&FAX 03-3291-3559
- 開店 2001年4月28日
- 営業時間 10時~7時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱種目 洋書・辞典類、外のワゴンに文庫など
- HP ただいま準備中 (こちらは理工学書を掲載の予定)
- 開店半月の感想、今後の抱負
- ずっと以前は大屋書房さんのお隣にありましたが、そこから東京電機大学の近くへ、それから2丁目へ、そして今度の1丁目1番地へと移転されました。三茶書房さんのお隣の一等地、さぞかし目立つことでしょうと思ったら、それがそうでもないのだとのこと。すずらん通りの入り口にもあたる場所で、ビルが靖国通りの対して斜めになっています。神保町から歩いてきた人々が、三茶書房さんまでが本屋というイメージで、信号を渡ってお茶の水方向へ行ってしまうのだそうです。ここにも本屋が出来たということをなんとか気づいてもらおうと、今日からワゴンを少し張り出して置いてみたと仰っていました。確かに先日は遠慮がちに引っ込んで置かれていましたね。小川町方向から歩いてくると、真正面で看板もよく見えるのですが・・・。
- お店はもとアムールエーパンというパンやさんがあった場所。お客さんが6、7人も入ればもう一杯という感じですが、限られたスペースに洋書といろいろな辞書類がぎっしり詰まっています。これまで扱ってきた理工学書の方はネット上で販売していこうと、HPを夏ごろには立ち上げる予定です。現在はお客さんの年齢層が高いので、今後は若いひとたちにも入ってもらえるような店作りを考えたいそうです。同じ洋書でも手軽で読みやすいきれいな本を揃えて学生さんにも立ち寄ってもらえれば・・・とのお話しでした。やわらかな物腰の女性店主でとても感じのよい方です。ぜひ訪ねてみてください。(K)
☆ブックスクエア神田 〒101―0051 千代田区神田神保町2-5 開拓社ビル
- 風通信社 TEL&FAX 03-3230-0180
- 金沢書店 TEL&FAX 03-3238-7416
- @ワンダー TEL&FAX 03-3238-7415
- 開店 2001年4月14日
- 営業時間 10時~7時 日・祝日12時~6時
- 定休日 無休
- 取扱種目
- 風通信社―社会学・アジア関係
- 金沢書店―歴史・民俗・郷土史・美術
- @ワンダー―ミステリー・SF・映画・サブカルチャー
- 交通 地下鉄神保町駅A1出口が便利、北沢書店となり
- 開店3日間の手応え、今後の抱負
- まずは1Fの@ワンダーさん、この3店共同でブックスクエア神田を出店した仕掛人です。準備を始めたのは昨年暮れから。タキイ種苗の裏手にあるRBワンダーはアニメ、コミック、ゲーム関連、こちらの新店舗はSF、映画、ミステリーという具合にカラー分けしました。いろいろな分野のお店が集まる神田古書センターのようなビルになればと考えているそうです。入口のエレベーターまたは@ワンダーのなかの階段で2Fへ。社会学・アジア関係の風通信社さんと、歴史・民俗関係の金沢書店さんのスペースです。1Fの明るいポップな雰囲気から一変、まじめな学術書が棚に並んでいます。金沢書店さんは今までの東中野のお店は現在休業状態、主力をこちらに移されるようです。風通信社さんは、目録とネットと即売展に店売りが加わり4本立てとなります。(これまで札幌、阿佐ヶ谷でお店を閉めた経験がおありとか・・・3度目の正直でがんばってください)
- お邪魔したのは開店3日後。とにかく3店とも、神保町の表通りは違うとおっしゃいます。@ワンダーさんも裏通りに比べ3~5倍の客数があるといい、金沢さんも風通信社さんもお客の質も違う、本を探しにくる人が来店するのだといいます。神保町の新しい名所をあなたも訪ねて見ませんか。(K)
★R.S.BOOKS 〒104-0028 中央区八重洲2-1 八重洲地下街
- TEL03-5204-2888 FAX03-5204-2888
- 開店 2001年4月2日
- 営業時間 10時~8時、土・日・祝日11時~7時
- 定休日 無休
- 取扱種目 趣味的な書物、アンテイークetc.
- 屋号の由来 RはRETRO、REVALUE、RECYCLEという金井書店・八重洲古書館のキャッチフレーズから、SはSATISFY(SELECT、SPECIALにも通ずるような気がしますが)、選りすぐった趣味的な本を提供するというポリシーによる
- 今後の抱負 バリアフリーに配慮した開放的な愉しいブックショップ
- 1983年12月に誕生した金井書店八重洲店が3月4日で閉店、新しい21世紀型古書店として生まれ変わります。車椅子でもバギーを押しながらでも、ゆったり見られるようにとバリアフリーに気を配ったのは業界では殆どないことでしょう。いろいろな人々が訪れる八重洲古書街だからこそ、従来の古書店には入りにくかった人々にも立ち寄ってもらい、本の世界、古書の世界に触れて欲しいといいます。八重洲古書館は古書マニアにも答えられる店として、R.S.BOOKSは本を読みたい人なら誰でも入れる店として位置付け、書物にかかわるアンテイークなども一緒に並べられるとか。”古本屋”のイメージを変えるお店になるでしょう。
★書肆 埋れ木 〒101-0051 千代田区神田神保町1-20-3→閉店しました
- TEL 03-3518-6338 FAX 03-3518-6341
- 開店 2000年12月14日
- 営業時間 11時~7時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱種目 近代文学書
- 目録 年に2回のペースで自家目録を発行。2月に第1号を発行する予定。
- HP 現在検討、準備中
- 屋号の由来 時代の趨勢から見て古書、とりわけ文学書は、いまや世間から捨てられ、忘れ去られた「埋れ木」のような気がします。万葉集に曰く「弓削の川原の埋木・・・」を大切にしたく名づけました、とのこと。
- 今後の抱負 近代文学の良書を中心に充実した品揃えを目指す。特に江戸後期、明治、大正、昭和戦前の出版文化が常に一望できるような品揃えを整えてゆきたい。
- 猿楽町の通りから1本入った横丁に、瀟洒な店が出来ました。一時期、キントト文庫さんがあったところですが、なぜここにこんな綺麗な店が?と思うくらい。専門のインテリアデザイナーによって造られた美しい空間に、近代文学書の初版本などがグラシンをかけられてぎっしりと並んでいます。高校生時代から集めつづけたというコレクター歴?十年のご主人は、英米文学の翻訳やモダニズム文学の出版も行ってきた多才な方です。2月に発行される自家目録の第1号は、写真版豊富な豪華な一冊となりそうで期待されます。お話を伺っている間に、立ち寄ったお客様方が「もとコレクターっだったの?よく集めたね。久しぶりにこんなに揃っているのを見たよ」と感心していました。書肆ひぐらし、みはる書房、ゴルドーニさんなどもすぐそば、取り敢えず一度見に行ってみてください。なお、「日本古書通信」今年の7、8月号にも目録掲載の予定です。(K)
★みはる書房 〒101‐0051千代田区神田神保町1-20小川ビル2F
- TEL&FAX 03-3294-3444
- 開店 1999年10月11日
- 営業時間 12時~7時
- 定休日 日曜日
- 取扱種目 三味線音楽・大衆芸能・文芸
- 屋号は伊藤みはる「さしむかひ人情話」から。まとまった自負のもてる目録作りと、お客が手ぶらで帰ることのない店作りをめざす。古書会館の即売店でも活躍中。
★心願社 〒101‐0051千代田区神田神保町2-12三宅ビル3F
- TEL&FAX 03-3221-7976
- 開店 2000年1月5日
- 営業時間 10時~6時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱種目 哲学・精神医学・心理
- http://www.homepage1.nifty.com/shingan/
- 屋号は原民喜「心願の国」より。インターネットの専門店をめざす。
★矢野書房 〒530-0041大阪市北区天神橋3-6-14
- TEL&FAX 06-6352-1056
- 開店 2000年4月7日
- 営業時間 11時半~7時半
- 定休日 無休
- 取扱種目 古書籍全般
- 浪速書林にて13年間修業。あらゆるジャンルの本を扱い、忘れられた本に光をあてたい。
★羊頭書房 〒101-0051千代田区神田神保町1-25神保町会館1F
- TEL&FAX 03-3518-2950
- 開店 2000年4月29日
- 営業時間 11時~9時
- 定休日 無休
- 取扱種目 SF・ミステリー・幻想文学・海外翻訳物
- http://kbic.ardour.co.jp/~newgenji/youtou/
- 屋号はドイツ語のゲームの名前から。店頭で現物をみてもらいつつ、店売りではできない品揃えをネット通販で目指す。特に海外翻訳物に力を入れる。
★鳥海書房 〒101-0051千代田区神田神保町2-11 さくら通り
- TEL&FAX 03-3264-4450
- 開店 2000年4月1日
- 営業時間 10時~6時半 祝日11時~5時半
- 定休日 日曜日
- 取扱種目 動物・植物・釣本・食物
- 目録「釣本といさな」を年に1、2回発行
- 屋号はご主人の名前だが、偶然(?)取扱分野ともマッチ。古書センターの店は入り口から堆く詰まれた本が通路を侵食、この新店舗開設後も通路が広がった形跡はなし。新店舗は鳥海さんならではの均一棚もあり気軽に入れる雰囲気。専門分野では和本から新刊までを網羅する店を目指す。
★海坂書房 〒101-0051千代田区神田神保町1-42
- 開店 2000年2月28日
- 営業時間 10時~7時 土曜11時~5時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱種目 娯楽時代小説専門
- 屋号は藤沢周平の作品中の架空の藩名より。ひたすら時代小説ファンのための店を目指し、準備中のHP上でも、作者別の作品リストなどをつくりWEBマガジンとして発行して行きたいとのこと。
★コム書店 〒101-0061千代田区三崎町2-21-10渡辺ビル1F→移転
- TEL&FAX 03-3230-1119
- 開店 2000年7月3日
- 営業時間 11時~8時
- 定休日 無休
- 取扱種目 音楽、アイドル雑誌、写真集、映画パンフetc
- もともと船橋市のコム書店さんで、屋号はコンピューターの略語より。JR水道橋駅から徒歩2分。明るい雰囲気で女性もOK。「毎日来ても飽きない店に!」を目標にPR中。
★ブンケンロックサイド 〒101-0051千代田区神田神保町2-3
- TEL&FAX 03-3511-8226
- 開店 2000年8月10日
- 営業時間 10時~7時 日曜・祝日11時~6時
- 定休日 第1、3日曜日
- 取扱種目 ロック、男性アイドル、ファッション、アニメ、サブカルチャー、俳句
- もともとの文献書院がブンケンショインとブンケンロックサイドに。15歳のときから古本屋の小僧として修業してきたご主人の50年来の夢がかなった靖国通り1Fの店。これまで古本屋に入ってこなかったような若い新しい客層の開拓を目指す。
★ゴルドーニGOLDONI 〒101-0051千代田区神田神保町1-18
- TEL 03-3518-2771 FAX 03-3518-2773
- 開店 2000年9月13日
- 営業時間 1時~7時
- 定休日 日曜・月曜日
- 取扱種目 近、現代の演劇書専門
- 屋号はイタリアの18世紀の劇作家カルロ・ゴルドーニより。イタリアンカラーで統一された書斎のような店内に丁寧にグラシンがかけられた本が並ぶ。ターゲットはプロの演劇人。珍しい書籍や台本は読書クラブメンバーに貸し出すことも計画中で、採算を度外視した、演劇人が集う文化的サロンといった方向性が打ち出されている。
★通志堂書店 〒101-0051千代田区神田神保町3-2阿久沢ビル1F
- TEL 03-3512-5637 FAX 03-3512-5638
- 開店 2000年11月15日
- 営業時間 10時~6時
- 定休日 日曜・祝日
- 取扱種目 東洋学関係中心の文科系書籍
- 屋号は中国の蔵書家の書斎の名前より。本郷の琳琅閣書店で16年修業後、独立。ネット販売と目録の二本立てで特色ある専門店を目指す。 2ヶ月に1回のペースで冊子目録を発行、第1号を12月中に発行予定。
各店それぞれ特徴のある面白いお店です。一度訪ねてみてください。(K)
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